卵巣は腫瘍ができやすいと言われています。その中でも卵巣嚢腫は良性の腫瘍のことで、女性の病気の中で発症する頻度が高い病気のひとつです。
卵巣が腫れて大きくなっていくのが特徴の病気ですが、目立った症状に乏しく自覚することが難しい病気であるため、ある程度進行してから気づくことが多いのです。 卵巣嚢腫 の 手術 をすぐに行うかどうかは、その状況によって異なります。また、手術の方法もひとつではありません。
卵巣嚢腫の手術
手術の対象となるもの
一般的に、腫瘍が5cmを超えると手術を検討します。自覚のし難さ故に、発見された時には5cmを既に超えていたというケースは少なくありません。また、悪性が疑われる場合にも、手術が必要となります。
初期ならば経過観察
小さい初期の腫瘍の場合は、すぐに手術を行う対象にはならず、まずは定期的に経過を観察します。しかし、すぐに手術を行わなくても、いずれは大きくなること、そして大きくなった卵巣が何かの弾みで根元から捻じれてしまう「茎捻転」を起こす可能性は消えません。
また、チョコレート嚢腫という種類の腫瘍の場合では、大きくなると破裂を起こす可能性があります。経過観察はこれらの可能性を知った上でそのリスクと共に生活をするということです。
茎捻転や破裂を起こした場合は緊急手術
目立った症状に乏しい卵巣嚢腫ですが、茎捻転や破裂を起こした際は違います。卵巣の捻じれた部分から血行が止まり、細胞が壊死してしまうのが茎捻転です。
この場合、突然下腹部にのたうちまわるような強烈な痛みが起こり、嘔吐を起こしたりショック状態になったりすることもあります。
また、チョコレート嚢腫が破裂すると、腹膜炎やショック状態を起こすことがあります。これらの場合はおそらく救急車で運ばれることになり、そして緊急手術が行われます。
卵巣嚢腫の手術方法
以前から一般的に行われていたのは、お腹を切って手術する「開腹手術」です。それが近年になって、内視鏡を使って卵巣を摘出したり腫瘍の部分だけを切除したりする「腹腔鏡下手術」という方法も用いられるようになってきました。
腹腔鏡下手術は、お腹の2~3ヵ所に小さな切開をし、そこから内視鏡を挿入して手術をします。この方法だと、開腹手術と比べて傷が小さいので回復も早く、患者の体の負担が大幅に軽減され、入院期間も5日程度と短く済みます。
ただし、腫瘍が10cmを超えるような大きなものの場合や、画像診断で悪性が疑われる場合には、開腹手術での切除が必要となります。医師による検査、診断の上で手術方法は決められます。
妊婦の卵巣嚢腫
妊娠初期の検査で卵巣嚢腫が発見されることはよくあることです。妊娠すると黄体ホルモンが分泌され、嚢胞ができることがあります。これによって卵巣が腫れている状態になるわけですが、ほとんどは良性で、経過観察をしていると15週くらいで自然と縮小していくことが多いと報告されています。
しかし、どんどんと大きくなっていく場合、症状がでてきた場合、悪性が疑われる場合などでは、切除することが検討されます。妊娠中の手術は14週~20週あたりで行われることが多いです。
母体と胎児になるべく負担をかけないよう、医師と相談しながら手術を検討します。近年では、開腹手術、腹腔鏡下手術のどちらも用いられています。
医師と相談しながら、適切に手術を
卵巣嚢腫は良性の腫瘍ですが、大きくなれば周囲の臓器を圧迫しますし、正常な排卵が出来なくなり不妊の原因となることもあります。
市の助成金でできる検診や、その他の診察で婦人科を訪れた際に偶然卵巣嚢腫が発見されることはよくあるようですが、この場合は幸運だと思って慎重に経過を観察しましょう。
以前と違って手術による身体への負担は少なくなっていますから、医師と相談をしながら適切な処置を検討しましょう。
まとめ
卵巣嚢腫の手術
手術の対象となるもの
初期ならば経過観察
茎捻転や破裂を起こした場合は緊急手術
卵巣嚢腫の手術方法
妊婦の卵巣嚢腫
医師と相談しながら、適切に手術を