子宮の両端にある親指大の卵巣は、腫瘍のできやすい臓器と言われています。卵巣にできる腫瘍の9割程はがんではない良性の腫瘍でそのほとんどが 卵巣のう腫 です。
良性と言っても妊娠に影響を与えるため、女性にとっては気になるものです。しかし、初期にはほとんど 症状 はなく、大きくなってから気付く場合が多いのが特徴です。
初期には自覚症状のない卵巣のう腫
卵巣のう腫の種類
卵巣のう腫は、のう腫の内容物によって4つの種類にわけられます。
漿液性のう腫
卵巣のう腫の中では年齢に関係なく最も頻度が高いのう腫で、卵巣表面の上皮から起こり、腫瘍の中にサラサラとした液体が溜まっているもので、放置していると拳より大きくなる場合もあります。
皮様性のう腫
20代~30代頃の若い女性に多く見られるのう腫で、筋肉組織や毛髪、軟骨、歯などが混ざっておりドロドロとしたものが溜まっている腫瘍です。卵巣は身体を構成する元をつくり出す臓器でもあり、組織をつくる細胞が卵巣の中で増殖してしまうために起こります。
粘液性のう腫
閉経後の女性に多く、腫瘍の中にゼラチンのようにネバネバとした液体が溜まっているのう腫です。
チョコレートのう胞
子宮以外の部位で内膜の増殖と剥離を繰り返してしまう子宮内膜症が原因で起こるのう腫で、子宮のように月経として排出できない血液や剥離した細胞が卵巣に溜まってしまいます。
検診で発見されたらどうなるのか
症状がないため、初期に自分で気付くことは難しく、検診などで卵巣の腫れを指摘されることがあります。しかし、卵巣の大きさは月経周期によって変化しているため、腫れが見つかること自体は珍しいことではないのです。
一時的な腫れであれば次の月経が来ることで治まるため、最初は様子を見て一時的な腫れなのか、卵巣のう腫の可能性があるのかを判断する場合が多いです。
もしも、検診などで卵巣の腫れを指摘されたら、2~3ヶ月後に再検査をします。自然に腫れが治まるのであれば治療の必要はありません。そこで卵巣のう腫であることが分かれば、経過観察をするのか、治療をするのかを選択することになります。
のう腫の大きさが小さく成長もゆっくりであれば様子を見ることもありますが、チョコレートのう腫は大きさに関係なく、子宮内膜症の悪化を防ぐためにピルやホルモン治療を行います。
しかし、妊娠を望む場合はその治療が行えません。その他ののう腫でも成長が早かったり、大きくなっている場合は手術を行う以外治療法はありません。
気付かない間に大きくなる腫瘍
卵巣は沈黙の臓器と言われており、腫瘍が小さいうちは自覚症状がほとんどありません。そのため大きくなってきてから気付いたり、妊婦検診で初めて発見されることも珍しくありません。
しかし、腫瘍が大きくなりすぎて破裂してしまったり、根元からねじれて茎捻転を起こしてしまうと激しい腹痛や吐き気、出血、発熱を伴います。
茎捻転は血行が途絶えてしまい卵巣が壊死してしまう危険もあるため緊急に手術が必要になります。このような状態になる前に、早めに卵巣のう腫に気付くことが大切です。
症状としては、腫瘍がこぶし大まで大きくなり触れるようになると、月経痛がひどくなる、月経時以外にも下腹部の張りや痛み、腰痛を感じることがあります。
大きくなった卵巣に引っ張られることで卵管が伸び、妊娠しにくくなる場合もあります。また、腫瘍が膀胱や腸を圧迫することで頻尿や便秘になることもあります。
その他、腫瘍に栄養を取られるため痩せてくる場合もあります。
卵巣のう腫を起こさないために
チョコレートのう腫以外の卵巣のう腫の原因は、未だよく分かっていません。しかし、ストレスなどにより、交感神経が極度に緊張した状態になることが原因のひとつではないかと言われています。
交感神経が緊張した状態になると、白血球の中の顆粒球が増加します。顆粒球は本来、細菌に反応して増加し戦うことで細菌から身体を守る働きがありますが、細菌がいない状態で増加した顆粒球は死滅したあと袋のように溜まりのう胞となってしまいます。
また、冷えによる身体の機能低下やストレスは月経痛を酷くしたり、肩こり、頭痛などの原因になります。そして痛みがあるとそれを抑えるために鎮痛剤を使用しますが、その鎮痛剤によって交感神経を緊張させてしまいます。
このように、ストレスや冷えは結果として卵巣のう胞を発症させる誘引になってしまいます。ストレスを溜めず、生活習慣を見直して冷えを改善することで卵巣のう胞の発症を予防できる可能性があります。
まとめ
初期には自覚症状のない卵巣のう腫
卵巣のう腫の種類
検診で発見されたらどうなるのか
気付かない間に大きくなる腫瘍
卵巣のう腫を起こさないために