卵巣囊腫は痛みなどの症状を自覚しにくい病気といわれています。そのため、健診や他の症状での診察で発見されることがとても多いのです。ですが、時として痛みを伴うこともあります。 卵巣囊腫 の種類と、その 痛み 方や症状とはどのようなものがあるのでしょうか。
卵巣囊腫が原因の痛みについて
卵巣囊腫は症状のでにくい病気
卵巣囊腫は、その嚢腫が小さいうちには症状に気づきにくいといわれています。卵巣は卵管からブラブラと垂れ下がった状態でお腹の中にあり、自由度の高い臓器であるため痛みの自覚をしにくい臓器です。
そのため、かなり大きくなってから痛みや違和感を感じるようになったり、あるいは他の疾患で医師の診察をうけて発見されたり、妊娠をきっかけに発見されたりすることが非常に多いのです。
卵巣囊腫の種類
卵巣囊腫にはその内容物からいくつかの種類に分けられます。良性のものも悪性のものもあります。約半数を占めている漿液性嚢腫、受精卵の外胚葉(将来骨や毛髪になる部分)由来の皮様嚢腫、子宮内膜症性のチョコレート嚢腫は良性のものであることがほとんどです。対して粘液性嚢腫は悪性化することの多い注意の必要な嚢腫です。
発生割合としては漿液性嚢腫が50%以上、粘液性嚢腫が20%、その残りをチョコレート嚢腫と皮様嚢腫で占めています。
なお、卵巣囊腫と同じく卵巣が肥大する病気として充実性卵巣腫瘍というものがあります。これは卵巣細胞が増殖してコブのようになった状態のことをいいますが、悪性(がん)であることも多く、こちらも注意が必要な病気です。
痛みのある卵巣囊腫1
卵巣囊腫が原因で痛みが発生するのはいくつかの場合があります。
強い痛みが出てくるのはチョコレート嚢腫である場合がまず挙げられます。チョコレート嚢腫によって、卵管や子宮、腹膜などと強い癒着が起きているような場合は非常に強い月経痛や月経前下腹痛、腰痛、排便痛などの原因となります。症状の重い方の場合は痛み止めの鎮痛剤が効かないほどの強い痛みの方もいます。
この場合、年齢や子供の有無、妊娠希望の有無、本人の希望等を考慮して手術の判断をすることがあります。なお、子宮内膜症の場合には薬物治療がされることもありますが、チョコレート嚢腫にはこれらの薬物療法にはほとんど効果が出ていないことが統計上明らかになりつつあります。
そのため、痛みの強いチョコレート嚢腫の場合には根本的な治療法として、手術による嚢腫の切除が選択されることがほとんどです。
痛みのある卵巣囊腫2
その他に痛みが出る卵巣囊腫としては、大きく成長した嚢腫が原因となっていることがあります。卵巣が大きく腫れてくると他の臓器を圧迫し、下腹部痛や便秘、腰痛などを引き起こすものです。さらに大きくなったものはお腹の上から触ったときに感触があったりもします。
その他に、緊急性の高い痛みの原因として茎捻転が考えられます。茎捻転とは、大きく成長した卵巣囊腫が、何かのはずみでお腹の中でねじれを起こしてしまい激しく痛むものです。
激しい下腹部痛や腰痛、悪心や嘔吐、ひどい場合にはショック状態に陥ることもあります。ねじれた卵巣が壊死を起こしている場合もあります。そのため茎捻転が起こった場合には緊急手術が必要となります。
痛みが続くときは医師の診察を受ける
卵巣囊腫は痛みをはじめとする自覚症状のでにくい病気です。しかし、卵巣は腫瘍の出来やすい臓器でもあります。良性にしろ悪性にしろ、早期発見早期治療が一番です。
下腹部に違和感があったり、強い月経痛や下腹部痛があるとき、鎮痛剤が効かないときなどは早めに医師の診察を受けにいきましょう。妊娠を希望している場合には早めの発見と治療によって不妊の要因を取り除くことも出来ます。
まとめ
卵巣囊腫が原因の痛みについて
卵巣囊腫の種類
痛みのある卵巣囊腫1
痛みのある卵巣囊腫2
痛みが続くときは医師の診察を受ける