卵巣嚢腫はすべてが良性とは限りません。悪性のがんである場合も可能性としてはあるのです。そのため卵巣嚢腫は早期発見・早期治療がとても大切なのです。 卵巣囊腫 が見つかった場合はどのように 治療 がされるのでしょうか。
卵巣囊腫の治療方法
卵巣囊腫が見つかったら
卵巣囊腫は自覚症状がすくなく、自分で気づくことはまれです。ほとんどの卵巣嚢腫は健診や他の症状で医師の診察を受けたときに発見されます。卵巣囊腫は良性であることが多いのですが、中には悪性のものもありその場合は速やかに治療をしなくてはなりません。
しかし、自然に消えてしまう良性の卵巣嚢腫もあるため1~2ヶ月ほど経過観察期間を設けることもあります。
卵巣囊腫は薬では治せない
卵巣囊腫は、残念ながら薬物療法では効果がほとんど期待できないといわれています。薬ではできてしまった卵巣囊腫を小さくしたり消してしまうことは出来ないために、卵巣囊腫に対しては外科的治療、すなわち手術によって治療するのが一般的です。
特に、卵巣囊腫のひとつ「チョコレート嚢腫」の場合は悪性の「嚢腫性卵巣がん」と非常に区別がつきにくく超音波検査やMRI検査では鑑別できないことがあります。
手術してみないと嚢腫が良性なのか悪性なのか解らない場合も往々にしてあるので、嚢腫が見つかった場合は速やかに適切な治療(摘出手術)を受けるのが最も望ましいのです。
卵巣囊腫の手術
卵巣囊腫の治療としての最善策は「嚢腫を切り取ってしまうこと」です。つまり手術をするのが一般的な治療方法なのですが、手術の内容は患者の病状や年齢、妊娠希望の有無、子供の有無等の状況に加えて患者自身の希望を尊重し、医師が最終的に判断します。
その術式とは、大きくお腹を切る(開腹手術)か切らない(腹腔鏡手術)かに分けられます。さらに卵巣ごと嚢腫を摘出する卵巣全摘術か、卵巣を残し嚢腫のみ切除する嚢腫切除術に分かれます。
それぞれの術式においてメリット・デメリットはあり、術式の選択にあたっては病状や患者の術後の生活を考慮されますが、特に重要視されることは手術後の妊娠希望や妊娠可能性があるかないかです。
ただし、悪性の嚢腫には腹腔鏡手術は適応しておらず、開腹手術で治療されることが一般的です。
開腹手術と腹腔鏡手術の違い
開腹手術は、どんな症状にも適応できるというのが最大のメリットです。デメリットは術後の痛みが強く患者への負担が大きいこと、回復までに時間がかかること、手術後の癒着が起きること等です。
対して腹腔鏡手術は、術後の痛みがほとんどなく回復も早いために患者の体の負担が軽いことと、手術による癒着が起きないこと、癒着がないために手術後は妊娠率が高まることが利点です。
デメリットは、嚢腫が悪性の場合や嚢腫が大きすぎる場合等には適応できないこと、手術による合併症リスクがあることなどですが、メリットのほうが勝っています。
そのため、現在は患者にとってよりリスクの少ない腹腔鏡手術が広く普及し、適応外のものでなければ卵巣囊腫の手術は腹腔鏡手術でおこなわれることが一般的になりつつあります。
卵巣は出来るだけ温存する
卵巣は、女性ホルモンを生み出す大切な器官です。そのため大部分の医師の見解としては「出来るだけ卵巣は温存するほうが望ましい」とされています。卵巣がんで卵巣全摘出以外の選択肢がないというようなケースを除いては、嚢腫のみを切除し卵巣は温存するということがほとんどです。
卵巣を摘出してしまうと、閉経後と同じ状態である卵巣機能欠落症状(いわゆる更年期障害)になり、患者にとっては術後の生活は非常にしにくくなることが予想されます。それを回避し、患者のQOLを回復・維持させるために可能な限り卵巣は温存するというのが常識的になっているのです。
しかしながら、やむなく卵巣全摘となった場合には急激な女性ホルモン量の低下を抑止するために、術後に女性ホルモンであるエストロゲンを薬として外から補う治療法(エストロゲン補充療法)が採用されるのが一般的です。
まとめ
卵巣囊腫の治療方法
卵巣囊腫が見つかったら
卵巣囊腫は薬では治せない
卵巣囊腫の手術
開腹手術と腹腔鏡手術の違い
卵巣は出来るだけ温存する