欧米人に多いと言われてきた卵巣がんですが、近年日本女性の患者数が増えています。また卵巣がんは初期には自覚症状がなく、早期発見が難しいがんと言われています。
自分が罹患するリスクを抱えているのか、生活習慣に問題はないか、 卵巣がん の 原因 を知り、リスクに備えましょう。
卵巣がんの原因を知り、リスクに備えましょう
加齢
卵巣がんの罹患率は40~50歳代に最も高く、これは閉経により卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が大幅に減少する時期と重なります。つまり、加齢そのものが卵巣がんの原因であり、一種の老化現象であるとも考えられます。
排卵回数
卵巣はそもそも腫瘍のできやすい臓器です。卵巣は、卵子を排卵すると上皮が傷つき、そのたびに修復されています。生理周期ごとに卵巣は損傷しており、その修復過程で異変が起きることでがんが生じると言われています。
排卵回数が多いと、この損傷・修復の過程も増えるため、卵巣がんになりやすいと考えられています。初潮が早かった人や閉経が遅い人は排卵回数も多いため、卵巣がんのリスクが高くなります。
また、妊娠・出産をすると排卵は一時的に止まりますが、子供を産まない人は排卵が止まる期間がないため、同様にリスクが高くなります。
ピルを服用することで卵巣がんの発症のリスクを30%下げることができると言われています。排卵を止め、子宮を休ませることができるため、卵巣がんの予防だけでなく、子宮体がんや子宮内膜症の予防も期待できます。このリスクに備える場合はピルの服用を医師に相談してみましょう。
遺伝子の異変
がん抑制遺伝子とされる「BRCA1」と「BRCA2」という遺伝子に異変が見られる場合、卵巣がんのリスクが高くなります。
女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、この遺伝子異常による乳がん・卵巣がんを予防するため卵巣と卵管の摘出手術を受けたことで、この原因をご存知の方も多いでしょう。
卵巣がんにおいて遺伝性のがんは10%と言われており、血縁者の中に40歳未満で卵巣がんを発症した人や、両側の卵巣において卵巣がんを発症した人がいる場合などは遺伝性がんを疑います。
血縁者にこれらの条件に該当する人がいるからといって必ず遺伝性のがんを発症するということではありませんが、リスクがあると思われる場合は、遺伝性のがんに詳しい専門の医療機関で相談しましょう。
食生活
従来、卵巣がんの罹患率は欧米人の方が高く、日本人には少ないがんとされてきました。しかし近年、日本女性の卵巣がんの発症は増加しており、食生活の欧米化により脂肪摂取量が増えたことが原因であると言われています。
これを裏付けるように、低脂肪の食事が卵巣がんのリスクを40%低下させたというアメリカの調査結果もあります。この調査では、摂取する食事のエネルギー量に占める脂肪の割合を20%未満とし、野菜や果物の量を増やしていますので、このバランスを目安に低脂肪の食事を心がけましょう。
ここまでの原因は避けられないものばかりでしたが、食生活は自分でコントロールできるものです。食生活は卵巣がんだけでなく、健康維持の基礎となりますので、低脂肪の食生活により体をがんから守りましょう。
その他の原因
その他、すべてのがんに共通する原因として喫煙が挙げられます。たばこには40~50種類にも及ぶ発がん性物質が含まれています。発がん性物質は血液に吸収され全身をめぐりますので、卵巣のみならずあらゆる臓器においてがんの原因となります。
また、更年期障害の症状緩和や、骨粗しょう症予防を目的として行われるホルモン補充療法も、卵巣がんの原因として指摘されることがあります。ホルモン補充療法を行う場合は、医師と相談の上、漢方薬などの選択肢を検討してみても良いでしょう。
まとめ
卵巣がんの原因を知り、リスクに備えましょう
加齢
排卵回数
遺伝子の異変
食生活
その他の原因