「早期発見が難しい、女性だけが発症する卵巣癌(前編)」では、卵巣にできる腫瘍の種類についてご説明いたしました。後編では、抗がん剤が効きやすい癌についてご説明いたします。
また、 卵巣癌 を早期に発見するための4つのサインをご紹介いたします。
早期発見が難しい、女性だけが発症する卵巣癌(後編)
抗癌剤が効きやすい癌
早期発見が難しい卵巣癌ですが、その反面他の部位に発生する癌よりも抗癌剤が効きやすく、全身転移が認められない卵巣癌であれば抗癌剤を使用したことにより40%以上の確立で癌細胞を完全消失させることが可能といわれています。
抗癌剤治療では、TC療法といわれるパクリタキセルとカルボプラスチンの併用療法が代表的な治療となります。2つの抗癌剤をパクリタキセル、カルボプラスチンの順序で投与し、1回の投与が終わると3~4週間の間隔をあけて再び投与し、症状をみながら3~6サイクルおこないます。
このほかにも、ドセキタキセルとカルボプラスチン、イリノテカンとシスプラチンといった併用療法やBEP療法といわれるブレオマイシン、エトポシド、シスプラチンの3剤による多剤併用療法があり、卵巣癌の種類や反応をみながら薬剤が選択されます。
さらに、それぞれの薬剤によってあらわれやすい副作用がわかっているため、患者さんによって使い分けることも可能です。
しかし、抗癌剤は使用し続けることにより薬剤に対する耐性ができ、効果が薄れてしまうことから再発を繰り返す卵巣癌では、使用できる抗癌剤が徐々に限られてきてしまうという問題もあります。
気付きにくい小さな4つのサイン
サイレントキラーという別名がある卵巣癌ですが、予後のためには何よりも早期発見が重要です。初期症状に乏しいとはいえ、私たちが気付かないだけで実は身体は小さなサインを出しています。
そのうちの1つが腹部膨満感です。女性の場合、月経周期に伴う症状として、同じように腹部膨満感があらわれることがあります。しかし、それらの症状が月経に伴うものであれば、症状が出たり、治まったりを周期的に繰り返すはずです。
もしも、卵巣に腫瘍ができたことによる腹部膨満感であれば、徐々に症状が増していき体重は変わらないもののウエストのサイズだけが大きくなったと感じるようになります。
2つ目は骨盤や下腹部痛です。これも月経に伴ってあらわれやすく、見逃されやすい症状ですが、周期性がなく症状が続く場合には注意が必要です。
3つ目は、食欲低下です。卵巣の周辺には、消化吸収に関係する臓器があります。そのため、腫瘍が大きくなるにつれてそれらの臓器が圧迫され、食欲が低下していきます。
4つ目は、トイレが近くなったり、うまく尿が出せないという症状です。これも、腫瘍が膀胱や尿道を圧迫することによってあらわれる症状です。
これらの症状は、特に異常がなくても女性であれば1度は経験したことがあると思います。だからこそ、いつものことだと思い、せっかくのサインを見逃してしまうのです。
卵巣癌の疑いがある卵巣腫瘍の発見は、婦人科でおこなう超音波検査が最も有効ですが、大きな異常がなければ受診をためらう女性も多いでしょう。
しかし、卵巣癌だけでなく、婦人科の検査をうけることにより不妊を招く女性特有の疾患がみつかる可能性や月経前症候群によるさまざまな辛い症状を軽減するきっかけになることもあります。
そのため、4つの小さなサインを感じた場合は、念のため医療機関を受診し検査などを受けることをおすすめします。そして、常に自分自身の身体にあらわれる小さな異変をしっかり感じ取ることが、サイレントキラーを早期発見する近道になります。
まとめ
期発見が難しい、女性だけが発症する卵巣癌(後編)
抗癌剤が効きやすい癌
気付きにくい小さな4つのサイン