日本ヘリコバクター学会の調査によると十二指腸潰瘍患者の89パーセント、胃潰瘍患者の94パーセントからピロリ菌が検出されているとのことです。胃がんを含めさまざまな病気の原因とされているピロリ菌ですが、感染するということが明らかになっています。
ピロリ菌 への感染を防ぐ方法をその 感染 経路 からご紹介いたします。
ピロリ菌の感染経路を知っていまできること
ピロリ菌とは
正式名称「ヘリコバクター・ピロリ菌」はその形が螺旋形をしていることから螺旋とか旋回という意味をもつヘリコと細菌という意味のバクターを合わせて名づけられたものです。
また、ピロリ菌が多く存在する胃の幽門部と呼ばれる出口付近はラテン語でピロルスと呼ばれていることから、この正式名称となったのです。
胃の中では胃酸という強い酸性の液体の働きで菌類も生きていけないのですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌して周囲をアルカリ性に変化させることができるとされています。
ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍を誘発し、胃がんになる確率を20倍以上も上げてしまうと言われています。また、現在のところ確定していないものの、ストレスによる胃痛やポリープの原因説や大腸がんの併発の原因説など、近年新たな研究結果が次々と発表されています。
ピロリ菌の感染経路とは
ピロリ菌の感染経路はいわゆる経口感染と言うことができます。吐いたものや便などに混じって体外に排出されたものが、水などに混じって再び体内に取り込まれるということです。
井戸水や湧き水などを使っていた戦前に生まれ育った方の多くがピロリ菌に感染しているということからも飲み水の衛生環境がピロリ菌の感染に大きく影響していることがわかります。
戦後の衛生状態のまだまだ悪い時代に生まれ育った50代以降ではピロリ菌の保有者が7割以上だと言われています。
先進国に比べると、発展途上国での感染率が高いのも上下水道の発達など衛生環境がピロリ菌の感染に影響していることを端的に物語っています。
いま問題な感染経路とは
上下水道が完備され、衛生環境が格段によくなった現在では最も心配される感染経路は5歳までの幼少期に家庭などで家族から感染するケースです。幼い子供は胃液の分泌も少ない上に胃粘膜が大人のように強くないので、唾液から感染してしまうのです。
現在では虫歯予防の観点からも親の口中で噛み砕いて乳幼児に食べ物を与えることは少なくなってきているものの、家庭内感染は確実にみられます。菌の遺伝子のタイプを解析することによって母子感染、父子感染、兄弟姉妹間感染のいずれも確認されていると言います。
箸やスプーン、皿などの食器を共用することなど家庭生活ではありがちな食事のあり方が思わぬ家庭内感染を招いている可能性があります。
なお、夫婦間の感染は稀であることが報告されていますが、これは胃液の分泌が増加して、胃粘膜も強化され、免疫力の上がる大人になってからのピロリ菌感染が少ないという事実と符合する結果となっています。
保育所や幼稚園など乳幼児の集団生活が感染源であるという説は感染している子供と食事を含めて生活を共にし、兄弟姉妹のように暮らすわけですから、家庭内感染と同じメカニズムであると言えましょう。
幼い子供はよく嘔吐するものですが、ピロリ菌に感染している子供の嘔吐物の中にはピロリ菌がいて、その処理に当たった保育者が他の子供に接触するという可能性はノロウイルスなどと同様にありえることでしょう。
消毒の不十分な医療器具によって感染する医療感染ということも可能性が全くないということではありませんでしたが、日本消化器内視学会から「内視鏡の洗浄、消毒に関するガイドライン」が出されるなどして管理が厳重に行われるようになってきています。
いまできることは
幼い子供がピロリ菌に感染してもすぐに発症するわけではありません。しかし、ピロリ菌が胃がんの原因であり、胃がんが遺伝的な病気ではないにもかかわらず胃がん患者を多く出す家族があるという事実から、家族内でのピロリ菌感染を防ぐということは次世代に対する責任とも言えることでしょう。
いま、家族の中に幼い子供がいる方もいない方もご自身と次の世代のために検査を受けてみるといいかもしれません。特に胃炎を繰り返したりして何らかの症状が続いている方には強く推奨いたします。
まとめ
ピロリ菌の感染経路を知っていまできること
ピロリ菌とは
ピロリ菌の感染経路とは
いま問題な感染経路とは
いまできることは