年々多少減少傾向とはいえ、未だ罹患者数の多い胃がん。 ピロリ菌 感染 が胃がんの発症リスクを高める原因となることが知られ、感染検査をはじめ、感染している場合は除菌をする人が増加しています。しかし除菌に際してはいくつかの問題点もあるようです。その問題とは何でしょうか。
ピロリ菌感染は胃がんのリスクが?!除菌にも問題が?(前編)
ピロリ菌とは?どういうルートで感染する?
正式名をヘリコバクター・ピロリとするピロリ菌は胃の粘膜に生息する細菌です。強力な酸性の胃酸の中でも生息できる菌です。ピロリ菌は胃に関係する多くの疾患を引き起こす原因となる菌です。
厚生労働省でもさまざまな研究の結果から「ヘリコバクター・ピロリ菌が胃がんの発生リスクをあげることは確実」と評価しています。
自身がピロリ菌感染者であった場合は保菌している限り胃がんの発症リスクを常に抱えている状態だということになってしまうのです。ではどのような形でピロリ菌感染してしまうのでしょうか。
感染源は未だはっきりとはしていませんが、有力なものとしては親子間での感染です。ピロリ菌感染しているお父さんやお母さんが咀嚼(食べ物を細かく噛み砕くこと)したものを赤ちゃんに食べさせるなどすることによって親から子どもへ感染するというものです。
子どもは免疫力が低いことから感染しやすいと考えられています。それ以外に先進国と比較して発展途上国の方がピロリ菌感染者が多いことから、発展途上国の生活環境に目を向けたところ生活用水の問題があげられたのです。
日本でも数十年前までは上水道設備が整っていないために井戸水などを生活用水として活用していましたが、その不衛生な環境下での水も感染原因の一つとして考えられています。
厚生労働省が50歳以上の7割以上がピロリ菌感染しているという発表をしているとおり、高齢になるほどピロリ菌感染者の割合が増加するということはこういった時代背景が大きく関係しているのではないかと考えられています。
ピロリ菌感染による病気とは?
厚生労働省は日本人の40歳から69歳の中高年期4万人を15年追跡研究した結果、ピロリ菌感染している人は感染していない人や過去に感染したことのある人と比較して5倍から10倍の胃がん発症リスクがあると発表しています。
だからと言ってピロリ菌感染したすべての人が胃がんに発展するとは限りません。
その理由して、厚生労働省の発表では日本人の50歳以上では70%から80%が、30歳未満では50%未満がピロリ菌感染していると発表しているものの、胃がん罹患者数はそこまでの割合には至っていないからです。
そして胃がんだけでなく胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の罹患者の多くがピロリ菌感染者であることから、それらの疾患の発症にもピロリ菌が大きく影響している可能性は非常に高いと考えられています。そのほかじんましんや動脈硬化などにもピロリ菌が関係しているという報告もあります。
近年ではピロリ菌感染していることがわかった場合、放置や経過観察のままでいるのではなく、将来的にさまざまな疾患につながるリスクは低くするためにも病院では除菌を勧めるところが多くなっています。
また一度ピロリ菌の完全除去をおこなった人が再びピロリ菌感染する可能性は非常に低いと言われています。
上記にあげた疾患の原因はピロリ菌感染が大きく影響している可能性が高いことは確かですが、発症原因はそのほか食事内容や生活習慣などの影響も十分含まれることも頭に置いておかなければなりません。
まとめ
ピロリ菌感染は胃がんのリスクが?!除菌にも問題が?(前編)
ピロリ菌とは?どういうルートで感染する?