WHO(世界保健機構)によれば、ピロリ菌は「煙草なみの発がん物質」であるとされています。慢性胃炎などの治療の一環として ピロリ菌 の 除菌 を行うことが胃がん発症を予防するとのことですが、どのような 薬 を使って除菌するのでしょうか。
副作用と服用の際の注意事項も含めてご紹介いたします。
7日間飲み切るのが大切なピロリ菌除菌薬
ピロリ菌を見つける検査とは
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の罹患歴のある方、胃炎の方、胃MALTリンパ腫や特発性血小板減少性紫斑病の方、早期胃がんの内視鏡下手術を受けた方などは健康保険を使ってピロリ菌の検査を受けることができます。
自費にはなりますが、家系に胃がんの方が多くて心配であるとか、病気というほどでもないものの胃の不調が続くような場合ももちろん検査を受けることができます。かかりつけ医に相談するか健康診断や人間ドックなどを受診する際にピロリ菌の検査の項目がある場合もあります。
検査方法は内視鏡を使用するものと使用しないものに大別されます。
内視鏡を使わない検査の中で最も精度が高いとされているのは尿素呼気試験法です。これは診断薬を服用した後の呼気を集めて診断するもので、非常に簡単に行えるために感染の診断や除菌後の確認の診断にもよく使われる検査方法です。
ピロリ菌に感染した場合、血液や尿の中に抗体が存在するようになります。抗体測定という検査方法は血液や尿からその抗体の有無を検出するものです。同様に糞便の中の抗体を検出することもできます。
内視鏡を使う検査は胃粘膜を採取してすりつぶした状態にしてピロリ菌が生きていける環境下で培養する培養法、ピロリ菌の持つウレアーゼという尿素を分解する酵素を反応液の色の変化で検出する迅速ウレアーゼ試験、胃粘膜の組織標本に直接染色することで顕微鏡下でピロリ菌を探す組織診断法の3つの方法があります。
ピロリ菌除菌の薬
ピロリ菌の除菌薬は処方する医療機関によって何種類かの組み合わせがありますが、3剤を併用すること、1日2回朝食後と夕食後に服用すること、7日間継続して服用することの3点は共通しているようです。
3剤のうちの2剤は抗菌薬です。2剤使用するのは相乗効果で除菌の効果を高める目的であるとされています。もう1剤は胃酸の分泌を抑える薬です。
ご存知のように胃酸は非常に強い酸性の液体です。一般的に抗菌剤は酸性の環境下では効きにくいため、胃酸の分泌を抑えて除菌剤の効果を高める目的で処方されます。
代表的な処方として、ランサップ(タケプロン・アモリン・クラリス)、ランピオン(タケプロン・アモリン・フラジール)、ラベキュア(パリエット・サワシリン・クラリス)などの組み合わせがよく知られています。
副作用がなければ処方された7日分を飲み切ることが大切です。飲み忘れは除菌の失敗の原因になるだけではなく、ピロリ菌の薬に対する耐性を強くしてしまう可能性もあります。
例えば処方された除菌薬に耐性のあるピロリ菌の場合は最初の除菌は失敗に終わるという可能性もあります。そのような場合は薬剤を代えることによって2次除菌を行います。最初の除菌がうまくいくのは80パーセント位であると言われています。
ピロリ菌除菌薬の副作用
便秘や下痢などの消化器症状や発疹などのアレルギー症状などの他に食べ物の味が変わって感じられたり口内炎ができたりする方があります。
副作用の症状が軽い場合は7日分を飲み切ることが大切ですが、下血を伴う下痢があるとか強いアレルギー症状が出たような場合は直ちに処方を受けた医療機関に相談してください。薬を飲むことを休んだり止めたりすることを素人判断でしないことが非常に大切です。
まとめ
7日間飲み切るのが大切なピロリ菌除菌薬
ピロリ菌を見つける検査とは
ピロリ菌除菌の薬
ピロリ菌除菌薬の副作用