女性が妊娠、出産をするために女性ホルモンは大変重要な役割をします。女性ホルモンの分泌と卵子の育成、排卵に関係する卵巣の機能が低下する病気を 黄体機能不全 といいます。
卵巣機能不全は様々な 原因 があり、他の病気と関連して起こっている場合もありますが、中には自分で意識することにより改善できる場合もあります。
妊娠に影響する黄体機能不全の原因とは
どのような病気なのか
卵巣の中には卵胞という卵子の入っている袋がたくさんあります。この卵胞のうち1つが月経が始まる頃に卵胞刺激ホルモンの刺激を受けて成熟し、2cm程度まで大きくなる排卵が起こります。
排卵のタイミングは卵巣が脳の脳下垂体から分泌される大量の黄体形成ホルモンの刺激を受けるLHサージという現象が起こってから、約24~36時間後とされています。
排卵が終わった卵巣には、黄体という組織ができ、子宮に対して黄体ホルモンを分泌します。この黄体ホルモンは子宮内膜を厚くし、基礎体温を上げたり、乳腺を発達させるなど妊娠の準備を促す作用があります。
しかし、この黄体ホルモンが正常に機能しないと子宮内膜の形成が不十分のために着床しにくくなったり、妊娠できても流産しやすく妊娠を継続できないという問題が起こってきます。これを黄体機能不全といいます。
3つの原因
黄体機能不全を起こす原因は大きく分けて3つあります。
1つ目は、脳の脳下垂体の働きが異常となりそこから分泌される卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンという2つのホルモンの分泌量が減少することです。このホルモンは卵胞や黄体の発育を促したり刺激する作用があるため、ホルモンの分泌低下により発育が悪くなってしまいます。
2つ目は、黄体ホルモンは正常に分泌されているが、子宮内膜がその刺激に対して正常に反応せず、子宮内膜が厚くならないない感受性の悪さです。
3つ目は、卵胞発育不全、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺機能異常などの疾患のため、卵巣で黄体が育たないことです。
卵胞発育不全
生活習慣の乱れやダイエット、ストレスなどが原因となり卵巣の機能は低下してしまいます。また、健康的な生活を送っていても、加齢に伴い、自然と卵巣の機能は低下していきます。
卵巣の機能が低下すると、脳からの指令を受けても反応が鈍くなってしまい、卵胞の発育が促されず十分に発育することができなかったり、排卵しにくくなってしまいます。
多嚢胞性卵巣症候群
卵巣の中で卵胞は数多くつくられるにもかかわらず、成熟した卵胞は出来にくく、また卵巣の表面が硬くなっているため排卵がうまく行われなくなります。しかし、脳は排卵させようとするため、脳下垂体からは排卵を促す黄体形成ホルモンが常時大量に分泌されます。
そのため、本来は卵胞刺激ホルモンが黄体形成ホルモンよりも多くなる月経2~5日目に検査をすると、黄体形成ホルモンの方が多く分泌されていることが分かります。
この病気は肥満傾向であったり、男性ホルモンの分泌異常がある方に多く見られます。
高プロラクチン血症と甲状腺機能亢進症
脳下垂体にプロラクチンを過剰分泌する腫瘍ができたり、甲状腺機能が低下することで甲状腺ホルモンの分泌を増やそうとすると同時にプロラクチンの分泌が促されてしまうことが原因で、プロラクチンの濃度が高くなってしまいます。
それ以外にも、ピル、抗うつ剤、降圧剤、胃潰瘍治療薬などの薬剤による影響や生活習慣の乱れ、ストレスなども原因になると言われています。
このプロラクチンは、出産後の身体をつくるホルモンで、乳腺の発達や子宮の収縮を促す作用があります。そのため、授乳期でもない時にプロラクチンの濃度が高いと、生理不順や排卵障害を引き起こします。
生活習慣によって起こる異常
不妊症にもなりかねない黄体機能不全は生活習慣の乱れによって生じる場合も多く、黄体機能不全の原因とされる疾患も生活習慣が関係しているものが多くあります。
最近の女性は細身の体格で冷え性の方が多く見られます。ダイエットなどで熱をつくり出す筋肉量が減ってしまうと、体温が低くなり代謝が悪くなるだけでなく、全身の機能が低下してしまいます。その結果、卵巣の機能も低下することで黄体機能不全を招いてしまうのです。
それ以外にも喫煙や偏った食生活、不規則な生活、ストレスなども冷えも原因となり、結果として黄体機能不全を起こす可能性があります。
そのため、生活習慣の見直しと適度な運動を行うことで筋肉量を増やし、冷えを解消することが必要となります。それにより、卵巣機能の低下を予防し、黄体機能不全を防ぐことが可能となるのです。
まとめ
妊娠に影響する黄体機能不全の原因とは
どのような病気なのか
卵胞発育不全
多嚢胞性卵巣症候群
高プロラクチン血症と甲状腺機能亢進症
生活習慣によって起こる異常