大人 の 髄膜炎 の原因としてウイルスや細菌などの感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患などがあります。髄膜炎の代表的な 症状 は頭痛で、“時間経過とともに悪化するこれまでに経験したことのない頭痛”が典型的です。
また特に重症化しやすい細菌性髄膜炎では発熱、意識障害、項部硬直が典型的な症状です。ただし頭痛ではなく後頸部痛と表現されることや、ステロイド使用中の人など頭痛が出にくい場合があることに注意が必要です。
大人の髄膜炎の症状はどんなもの?(前編)
大人の髄膜炎の症状
髄膜炎は子供も大人もなる病気です。
文字通り髄膜に炎症が起こる病気が髄膜炎ですが、大人の場合、感染症による髄膜炎(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫)以外にも、悪性腫瘍(がん)や自己免疫疾患・膠原病(サルコイドーシス、ベーチェット病など)、薬剤(NSAIDs(エヌセイズ。痛み止めや熱ざましとして使用される薬です)や抗生物質など)も原因となることがあります。
髄膜炎のなかでもっともこわいものが細菌感染を原因とした細菌性髄膜炎で、治療をしても10~30%は死亡し、救命できた場合でも約30%に神経学的な後遺症が残る非常に重症の病気です。
髄膜炎全般の症状として頭痛が代表的な症状であり、さらに細菌性髄膜炎の症状として発熱、意識障害、項部硬直(こうぶこうちょく。詳しくは後述)が有名で、細菌性髄膜炎の3徴と呼ばれています。
ただし頭痛がある人全員が髄膜炎ではありませんし、頭痛がない、あるいはあってもごく軽いものにとどまる髄膜炎患者さんも存在します。
さらに細菌性髄膜炎であっても意識障害、発熱、項部硬直の3徴全てがそろうのは2/3以下にすぎません。ただし細菌性髄膜炎の95%はこれら3つのうち2つの症状があり、少なくとも1つを認めるものは99~100%であると報告されています。
髄膜炎の頭痛の特徴
たくさんの病気が頭痛を起こしますが、髄膜炎の頭痛には2つの大きな特徴があります。
1つめは“時間が経過するとともに悪化する頭痛”、もうひとつは“これまでに経験したことのない強い頭痛”です。この2つがそろっている時には髄膜炎の可能性が高くなります。
もちろん“時間の経過とともに悪化するこれまでに経験したことのない頭痛”が必ず髄膜炎であるとは限りませんし、頭痛がない髄膜炎患者が存在することは上述のとおりです。
“これまでに経験したことのない頭痛”(“今までに経験したことのない頭痛”、“人生最悪の頭痛”などとも表現されます)を起こす代表的な病気にはこの髄膜炎と、くも膜下出血があります。
くも膜下出血も発症すると1/3が死亡し、1/3に何らかの後遺症が残る危険な病気です。くも膜下出血の頭痛は“突然生じてあっという間にピークに達する頭痛”が典型的です。長くても1分以内、多くは数秒以内にピークに到達します。
これに対して、細菌性髄膜炎の多くは1~7日の経過(専門用語で急性の経過と呼ばれます)で悪化する頭痛となることが多いです。
中には劇症型細菌性髄膜炎と呼ばれる急速に悪化するタイプもありますが、それでも悪化する速度は24時間くらいであり、くも膜下出血との時間差がおわかりいただけるかと思います。
まとめ
大人の髄膜炎の症状はどんなもの?(前編)
大人の髄膜炎の症状
髄膜炎の頭痛の特徴