乳腺症 の特徴的な症状である「 痛み 」で最も多いのは、生理前後に胸が張り、痛みを感じることです。思春期の二次性徴期のような痛み方に近いといわれています。他にも触ったり揉んだりすると痛みを感じます。今回は乳腺症による痛みとその種類について解説していきます。
乳腺症による痛みの出方と類似の疾患
月経期の女性特有の疾病
乳腺症は女性特有の疾患で、30~40代が好発年齢です。この年代は、女性ホルモンの分泌バランスが崩れやすい年代で、生理周期と連動して症状が出ることが解っています。
初期の症状は胸に軽い痛みや違和感がある程度ですが、生理周期が重なるに連れて次第に痛みや張りが強くなったり、しこりができたりと痛み方や違和感が大きくなり、苦痛を伴うようになります。
生理前後に胸に違和感があるようなら早めに婦人科を受診しましょう。
発症の原因は?
乳腺症の発症プロセスについてはよく解っていない部分が多くあります。しかし、女性ホルモンのバランスの乱れが発症に関係しているのではないかということは判明しています。
生理周期のある女性にしか発症しないことが主にその理由ですが、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌は乳腺の働きに大きく影響を及ぼすからです。
卵胞ホルモンとも呼ばれるエストロゲンは、プロゲステロンに対して相対的に分泌量増大している状態は、乳房内の乳官を拡張して乳房細胞の血流を増やすように作用し、乳汁を分泌しやすい状態にします。
これは、産後の授乳期に近いともいえます。そのため乳腺症と乳腺炎は症状としてはとても酷似しています。
乳房の鈍い痛みが特徴
乳腺症の痛みは主に生理前後にでてきます。これは前述のように女性ホルモンの働きに関連していると考えられています。初期の頃は乳房の張りや痛みで、生理前に症状が出て、生理が終わると痛みが治まります。
しかし、悪化してくると生理周期の関わらず常に痛みを伴うようになり、しこりができたり、乳頭から分泌物が出てくることもあります。乳腺症による痛みはよく「鈍い痛み」と表現されます。なお、乳腺症は悪性のがんとは異なり良性のもので、悪性化することはまずない疾病です。
よく似た症状が出る「乳がん」と「乳腺炎」その違いは?
乳腺症によく似た疾患として「乳腺炎」と「乳がん」があります。この三者は共に乳房の疾患で「しこり」「痛み」など症状も似たような状態になります。しかし細かくみていくとそれぞれの違いはありますので落ち着いて確認してみる必要があります。
乳腺炎とは、授乳期間中に乳腺が詰まってしまい炎症を起こしてしまう疾患です。乳房全体の痛みや腫れ、発熱や体のだるさなどの症状がでます。また、詰まった乳腺の部分を中心としてしこりができます。乳腺症のしこりとの違いは触ったり押したりするとしこり自体が移動するということです。
乳がんも同様にしこりの症状が自覚できますが、痛み自体は自覚できないことが多いといわれています。
しこりは移動性のものではなく、その点では乳腺症との区別がしにくいものですがしこりの表面がごつごつとした岩のような固さであることが乳腺症や乳腺炎のしこりとの区別になります。
また、乳がんの場合は、乳汁に血が混じっていることもあります。
乳腺症と診断されたら
乳腺症という疾患には治療方法が確立されておらず、経過観察となることがほとんどのようです。
乳腺症の予防的ケアとして最も大切なことは女性ホルモンのバランスを整えることといえます。女性ホルモンの分泌量やそのバランスは、食事や生活習慣によっても大きく変わるため、毎日の生活の中で気をつけることで症状の改善や発症の予防とすることができるのです。
生理前の乳房の張りや痛み、しこりが気になったらすぐに専門医の診断を受けることが大切です。乳腺症そのものは良性の疾患ですが、万が一乳がんを発症している場合にはその発見を遅らせてしまいかねないからです。
まとめ
乳腺症による痛みの出方と類似の疾患
月経期の女性特有の疾病
発症の原因は?
乳房の鈍い痛みが特徴
よく似た症状が出る「乳がん」と「乳腺炎」その違いは?
乳腺症と診断されたら