「乳腺症」は「おっぱいの老化」によるものとも言われています。加齢や、出産の経験がない人、中絶経験がある人などに多い傾向があります。これは、女性ホルモンが病態に大きく関わるためです。
今回は、この「 乳腺症 」の 原因 について詳しくお伝えします。
痛みを伴う乳腺症 その原因は?
乳腺に影響するホルモン
乳腺症は30~40歳代の女性の生理前に、「圧痛のあるしこり」を感じることが多い病気です。生理前に症状がでやすいのは、乳腺症の多くが女性ホルモンに関係するものだからです。
症状が強くなる乳腺に関わる女性ホルモンは、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の主に2つがあります。エストロゲンは、乳腺や乳腺を栄養する組織(間質)を増加させます。このため、エストロゲンが増加すると、おっぱいが大きくなります。
一方で、プロゲステロンは、乳汁の産生を増加させる働きがあります。生理前に胸が張るのは、この2つのホルモンの働きのためです。このホルモンバランスが崩れると、乳腺症になりやすいと言われています。
下記のような人に乳腺症が多いとされています。
- 妊娠を途中で中断した人(流産、妊娠中絶)
- 出産回数が少ない、未出産の人
- 母乳栄養をほとんどしなかった人
- 生理不順な人
- ストレスが多い
- 肥満
卵巣ホルモンの周期的な変化に対して、乳腺が同調していけなくなるためとも言われています。乳がんの発生原因とは異なるため、乳腺症がガンに発展する可能性はありません。そのため、乳腺症がある人とない人での乳がんの発生頻度は同じとされています。
その他の原因は? 男性にも乳腺症は発症
生理が始まったばかりの思春期の一過性のもの、薬剤性のもの、他の病気によるものなどがありますが、原因がはっきりしない(特発性)ものも多く見られます。そのため、乳腺症は男性にも起こります。
薬剤によるもの
薬剤で乳腺症を起こす可能性があるものは、以下の薬剤が挙げられます。これらの薬は、女性ホルモンを増加させる機能を有するために、男性が使用すると、乳腺や乳腺組織に働きかけて、女性のようにおっぱいが膨らむことがあります。これを「女性化乳房」と言います。
女性化乳房を起こす可能性がある薬剤は、
- 女性ホルモン剤
- 強心薬(ジギタリス)
- 降圧薬(スピノロラクトン、レセルピン、メチルドパ、ニフェジピン)
- 抗結核薬(イソニアジド)
- 抗潰瘍薬(スルピオリド、シメチジンなど)
- 抗アレルギー薬(オキサトミド)
- 抗けいれん薬(フェニトイン、カルバマゼピン)
- 抗真菌薬(グリセオフルビン)
- 向精神薬
などが挙げられます。
女性化乳房を起こすと全ての人が乳腺症になる訳ではありませんが、乳腺症を起こすリスクが高くなるとされています。
その他の病気によるもの
乳腺の発達には、インスリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど多数の物質が関わります。そのため、これらの物質を産生する臓器に異常により、過剰に女性ホルモンが産生されることがあり、必然的に乳腺症を起こすリスクも高くなります。
さらに、男性の精巣・陰茎・前立腺といった男性生殖器・泌尿器に腫瘍ができると、男性ホルモンが減少して、女性ホルモンが優位になり、女性化乳房を起こすことがあります。この場合も、乳腺症のリスクが高まります。
このように、肝臓(インスリン産生)・副腎・甲状腺・泌尿器といった、おっぱいとは一見関係ない臓器の病気でも、乳腺症になることがあるのです。
まとめ
痛みを伴う乳腺症 その原因は?
乳腺に影響するホルモン
その他の原因は? 男性にも乳腺症は発症
薬剤によるもの
その他の病気によるもの