乳腺症は月経期の女性なら誰でもなりえる乳房の疾患です。乳房にしこりができたり触ると痛かったりするのが主な症状です。しかしながら、これといった 治療 方法は確立されておらず、経過観察がほとんどです。
同じ乳房の疾患ですぐに思いつくのは「乳がん」ですが、 乳腺症 と乳がんの違いについても解説します。
乳腺症の代表的な症状と他の疾患との違い~乳腺症の治療法はない?~
乳腺症とはどのような疾患か
乳腺症とは、その字の通り、乳房の中にある乳腺に異常をきたす病気です。乳腺とは、母乳を出すための組織で、「小葉」と「乳管」という2つの器官で成り立っています。小葉で血液から母乳をつくり、できた母乳を乳頭まで運ぶための管を乳管と呼んでいます。
これらの器官に異常がでるのが乳腺症です。主な症状は、乳房の張りやしこり、痛みですが、この症状は乳がんを始めとした乳房の疾患にもみられるものです。
医師の診断は、可能性のある他の疾患ではないことを確認しながら進められます。そのため、消去法的に「乳腺症」と診断されることも少なくない疾患です。
どんな症状があるの?
乳腺症の主な症状は、乳房の腫れやしこり、触ったり押すと痛む、乳頭から乳汁がでる等があります。これらの症状が月経周期に連動していることも特徴です。月経前になると乳房が張ったり痛みを伴ったりしますが、月経後には自然と収まってくることが初期の症状で最も多いものです。
症状がすすんでくると、月経周期に関わらず常に痛みや腫れを感じたり、乳頭から乳汁がでたりします。月経期にある30~50代に見られる病気であること、月経周期に連動して症状が出ることなどから、乳腺症の原因は女性ホルモンが深く関わっていると考えられています。
乳がんの症状と似ているので注意が必要
乳腺症と似ている症状が出やすいのが、乳がんと乳腺炎です。乳がんは「しこり」で異常を自覚することも多いというように、その特徴はしこりです。固くごつごつとした動きのないしこりで、触った時の痛みはないことがほとんどです。
しこり以外の症状として、血液混じりの乳汁が出る、乳房がひきつれたりへこんだりといった変形する等の症状がみられることもあります。乳腺症との違いはしこりの状態や痛みを伴うかそうでないか等が主な違いとなります。
乳がんの場合は乳腺症とは違い、すぐに治療が必要となる病気ですので要注意です
乳腺炎との違いは?
乳腺炎は、授乳中の人がなりやすく乳腺が詰まることによって炎症を起こした状態になったもので、授乳以外では起こり得ない疾患です。乳腺症、乳がんと同じくしこりができますが、他の疾患とは違いしこりは乳汁が乳管に詰まってできるものですので、しこり自体に動きがあります。
また炎症を起こしている状態のため、乳房の腫れや痛みとともに、倦怠感や発熱を伴うことも多くあります。原因が乳の詰まりとはっきりしているため、詰まりが解消すれば症状もすぐに落ち着くものです。
怖い病気ではないが乳がんの見落としに注意
乳腺症という疾患自体は、怖い病気ではありません。乳房に気になる症状があるものの、日常生活に支障をきたすものではないからです。
しかし乳房の腫れやしこりがあることで、悪性の病気である「乳がん」のしこりを見落としてしまい、早期発見を遅らせてしまう可能性があり、その点は注意が必要です。
乳がんは命にかかわる怖い病気ですので早期発見、早期治療が何よりも大切です。乳腺症かそうでないかに関わらず、日頃のセルフチェックはとても大切なのですが、万が一乳房にしこりや腫れ、痛み等を伴うときには早急に受診するようにしましょう。
まとめ
乳腺症の代表的な症状と他の疾患との違い~乳腺症の治療法はない?~
乳腺症とはどのような疾患か
どんな症状があるの?
乳がんの症状と似ているので注意が必要
乳腺炎との違いは?
怖い病気ではないが乳がんの見落としに注意