乳腺症 とは、40~50代の女性に多く見られる良性の疾患です。これは乳癌や乳腺炎のような病気ではなく、加齢と共に女性ホルモンのバランスが崩れることにより、乳腺に起こる様々な症状を総称したものです。ですから乳腺症は特別な治療は必要なく、閉経後には症状が次第に緩和されます。
乳腺症に対する理解
乳腺症と女性ホルモンの関係
乳腺症とは女性ホルモンの影響によって、乳腺に様々な生理的変化が起こる症状をいいます。乳腺は血液から母乳を抽出するための腺房、乳汁を乳頭まで送る乳管、これらを支える間質から成り立っています。
乳腺は生殖器官のひとつであり、卵巣から分泌される女性ホルモンの影響を受けます。女性ホルモンの増加によって子宮と共に、乳腺も妊娠や授乳に対する準備を行いますが、その後加齢によりホルモンのバランスが崩れることにより、乳腺症となる方が多いと考えられています。
けれども乳腺症は心配するような病気ではなく、特に日常生活を送る上で問題なければ、治療は必要ありません。
乳腺症の症状とは
一言で乳腺症といっても、症状には様々な種類があります。女性ホルモンの影響を受けて起こることから、月経時期とも深く関連があり、月経が終わるとその症状も軽くなることが多いでしょう。症状の例としては乳腺の痛みやしこり、乳頭からの分泌物が挙げられます。
乳腺症の患者の乳腺をレントゲン検査や顕微鏡検査で調べてみると、乳管細胞が増殖して乳頭から分泌液が出ている乳管乳頭脳や、液体が詰まっている嚢砲、汗腺に似たアポクリン化生などが見られますが、これら全て乳腺症と診断されています。
変化の状態は様々ですが、これらが全て女性ホルモンが原因だと考えられているからでしょう。最近は乳腺症を病気だとは考えず、生理的な変化だといわれており、将来的には乳腺症という病名もなくなる可能性もあると考えられます。
乳腺症は乳癌になる?
女性の場合乳房に何らかの異常や変化を感じると、乳癌ではないかと心配するケースが多いと思われます。または乳癌検診を受けた時に、乳腺症だといわれた方も多いことでしょう。
乳腺症は治療する必要はないと言われても、本当にこのまま放置していても大丈夫なのかと心配する方もいらっしゃいます。乳腺症が乳癌になる可能性はないのでしょうか?
乳癌の手術した部位に乳腺症が見られることもあり、乳腺症と乳癌に深い関係があるのではないかといわれたことがありましたが、今では乳腺症から乳癌になるという考え方はほぼ否定されています。
もちろん乳癌も乳腺細胞から発生しますが、それは乳腺症がなくても発生するので、乳腺症だと診断されたことにより、乳癌になる心配をする必要はありません。
正しく把握するために
乳房にしこりがあると感じたり痛みや分泌物が見られる場合には、すぐに専門医の診察を受けましょう。このような症状は乳癌にも共通するので、適切な検査を行う必要があります。
乳癌も乳腺症も検査の内容はほぼ同じですので、乳房に何らかの症状があらわれた場合には、確認のためにも即検査を行いましょう。
乳腺症だと診断されたら、きちんと納得できるまで医師からの説明を受けるようにしてください。その後も乳房の変化があればすぐに発見できるように、月に1度はシャワーをする際に念入りに乳房をチェックすることがとても大切です。
乳腺症と判断された方もそうでない方も、自己検診がとても重要です。医師が気づかないような小さなしこりも見つけることができるのが、健康が最も気になる本人だからです。体を洗う場合には手に石鹸をつけて乳房を洗う習慣をつけると、乳腺症も乳癌もすぐに発見することができるでしょう。
まとめ
乳腺症に対する理解
乳腺症と女性ホルモンの関係
乳腺症の症状とは
乳腺症は乳癌になる?
正しく把握するために