「乳房にしこりが!これは乳がん?乳腺嚢胞?(前編)」では、乳腺嚢胞とはどのような状態であるのかご紹介いたしました。
後編では乳腺嚢胞が乳がんに進行する可能性があるのか、また 乳腺嚢胞 になりやすい更年期についてご紹介いたします。
乳房にしこりが!これは乳がん?乳腺嚢胞?(後編)
乳がんに進行する可能性はあるの?
乳腺嚢胞自体は良性といわれていて、直接乳がんにつながるものではありません。しかし先に述べたように乳腺が発達している状態でのマンモグラフィー検査では乳腺嚢胞をはじめとした腫瘍などの異常は、異常のない乳腺と同様に白く映ってしまいます。
そのため場所や大きさについても正確に読み取れない可能性があります。またマンモグラフィー検査は乳腺の発達や乳房の張りの問題以外に技師の技量の問題も大きくかかわってきます。
市区町村の検診などで乳腺嚢胞の診断を受けた場合も、他院でセカンドオピニオンを受けたり超音波検査や穿刺吸引細胞診を申し出ることも一つの手段です。
そして乳腺嚢胞診断後も意識的に数か月から1年ごとにマンモグラフィー検査と超音波検査の受診をお勧めします。もし乳がんとの診断を受けた場合でも早期発見、早期治療につながります。
更年期には乳腺嚢胞になりやすい?
更年期を迎えるころになると乳腺嚢胞の診断を受ける女性が増え始めます。母乳を飲ませているころは乳腺には乳汁が分泌されていましたが、その役割を終えて水分だけが分泌されるようになります。
乳腺嚢胞の原因として女性ホルモン(エストロゲン)分泌のバランスが考えられています。そのため閉経前で女性ホルモンのバランスが崩れはじめる更年期は乳腺嚢胞が起こりやすいと考えられています。
更年期をむかえると卵巣機能が低下して女性ホルモンの分泌が減少しますが、脳はこれまでと同様に足りなくなった女性ホルモンを補充するように指令を出します。
しかし機能が低下した卵巣にはそれを補う女性ホルモン量の分泌の能力はなくなっているため、矛盾が発生して自律神経がうまくコントロールできなくなってしまいます。
それによりのぼせやほてり、動悸などといった更年期障害と呼ばれる症状が出はじめます。この更年期障害の症状は軽いものであれば薬に頼らずとも大豆イソフラボンやビタミンE、B1、B12、C、亜鉛、タンパク質などをバランスよく摂取することにより症状を和らげることもできます。
一方で症状が重い場合は日常生活にも支障が出てしまうためどうしても薬に頼らざるを得ない状態になります。そこでおこなわれる方法が減少した女性ホルモンを補充するホルモン補充療法です。
しかしこのホルモン補充療法が乳腺嚢胞の症状を増加させるといわれているため非常に注意が必要なのです。既に乳腺嚢胞の診断を受けている状態でホルモン補充療法を勧められた場合は医師に乳腺嚢胞であることを伝えておいた方が良いでしょう。
更年期障害は特別な症状を除いて食事療法や規則正しい生活をおくることで緩和されることもあるといわれています。乳腺嚢胞を増加させないためにも更年期障害緩和のために生活の見直しを心掛けましょう。
まとめ
乳房にしこりが!これは乳がん?乳腺嚢胞?(後編)
乳がんに進行する可能性はあるの?
更年期には乳腺嚢胞になりやすい?