授乳期の4人に1人が経験すると言われている乳腺炎は、乳腺が詰まることによってしこりができる病気です。痛みや発熱だけではなく、重症化すると切開が必要な場合もあるようです。
「癌かもしれない」と悩む原因になる 乳腺炎 の しこり についてご紹介いたします。
こうして見分ける乳腺炎と乳癌のしこり
乳腺炎とは
さまざまな原因によって乳管がつまってしまったり、乳腺が腫れてしこりをつくってしまう炎症のことを乳腺炎と言います。乳房が赤く腫れてたり、熱をもって全体的に固く張ったり、固いしこりが何か所もできてしまうようなこともあります。
悪化すると、本来サラサラとして透き通った乳白色である母乳がドロッとしたクリーム色になってしまうような場合もあります。
風邪をひいているわけでもないのに、38度以上の発熱や関節痛、頭痛を引き起こすこともあり、病院での治療や助産師の乳房マッサージが必要になることがあります。
乳腺炎の原因
母乳は血液からできているので、高カロリー・高脂肪の食事を続けると血液がドロドロになるのと同様に母乳もドロドロしてしまい、詰まりやすくなります。また、水分摂取が少ないことも母乳が詰まる原因となります。
授乳の姿勢が一定のままの場合、乳房の一部に母乳が溜まってしまい、乳腺炎の原因になることがあります。授乳回数を多くすると、母乳を長時間溜めないので乳腺炎の予防につながると言われています。
乳首など乳房に傷ができてしまうと細菌が入って乳腺炎になってしまう場合があります。乳首の清潔と保護が大切になってきます。
夜中の授乳などで睡眠が不足して疲労が蓄積することも乳腺炎の誘因になります。疲れを溜めない工夫が必要です。
母乳の分泌が良すぎると、飲み切れない分が残ってしまうことで乳腺炎を引き起こすことがあると言います。対策として、搾りすぎに注意して2~3割くらい圧を抜くように搾乳するのが効果的だと言われています。
乳腺炎の対処法
乳房にしこりを感じて少し痛む初期段階では、入浴して体を温めるのが良策です。しこりの部分を乳頭に向かって流し出すイメージでマッサージをするとよいでしょう。積極的に授乳するのもお勧めです。
症状が悪化して乳房が赤く腫れてきた場合には、炎症を起こしている乳腺をそれ以上刺激しないように入浴など体を温めることは避けなければなりません。
腋下リンパ節を冷やすのも有効です。炎症が進むと痛みのために衣類が触れても痛みを感じるほどになってしまうこともありますが、マッサージも厳禁です。できるだけ早く病院で適切な処置を受けるか、助産師のマッサージを受けてください。
何らかの原因で化膿性乳腺炎を起こしてしこりができてしまい、化膿と排膿を繰り返すようになってしまうと、皮膚を切開して排膿する必要が出てくる場合があります。
乳腺炎と乳癌のしこりの識別
授乳期に乳癌を発症するということは非常に稀なことだと言われていますが、乳腺のつまりのしこりと乳癌のしこりの違いを知っておくことは大切なことです。
母乳のつまりで生じる乳腺炎のしこりはホルモンバランスの影響を受けるために痛みやしこりの固さが変化します。また、皮膚の上から触るとしこりが動くことが特徴的です。しこりに固い部分と柔らかい部分があって、弾力性があることが多いとも言われています。
乳癌のしこりは皮膚の上から触っても動かず、石のように固くてゴツゴツしています。また、基本的に痛みを感じることはなく、ごく稀にしか痛みを感じないと言われています。形があいまいで境界線がはっきりしないことが多いとも言われています。
乳腺炎から乳癌に進行するというようなことはありませんが、乳腺炎だと思い込んで安心していたら乳癌だったということは全くないわけではありません。
しこりのセルフチェックをするだけでなく、乳腺炎の治療を続けてもなかなかしこりが小さくならないような場合は、必ず乳腺の専門医の受診をするようにしましょう。
まとめ
こうして見分ける乳腺炎と乳癌のしこり
乳腺炎とは
乳腺炎の原因
乳腺炎の対処法
乳腺炎と乳癌のしこりの識別