癌の治療費が高い事はよく知られており、癌に罹患すると思わぬ出費に慌てることにもなりかねません。乳癌の治療でも抗がん剤や飲み薬、手術、入院、術後通院費用など様々な費用がかかります。ここでは 乳癌 の 手術 に関わる 費用 についてお話しいたします。
乳癌の手術に関わる費用について
手術の種類によって費用は異なります
乳癌の手術とひと言で言ってもいくつかの種類があり、それぞれかかる費用が異なります。当然ながら切除範囲の大小や入院期間でも費用は変動します。
再建手術をすればその分も加算されますし、病院によっても医療費の算出法が異なるのでおおよその目安ですが、一番切除範囲の小さい乳房温存術で20~25万円程度(自己負担額)というのが一般的かと思います。
参考までに切除範囲の小さい順に手術の種類を挙げますので、予定されている手術がどの程度の規模なのかを理解する手がかりになればと思います。
- 乳房温存術(乳房の一部を切除)
- 乳房切除術(患部のある乳房を全部切除)
- 乳房切除術+リンパ郭清(乳房と腋窩リンパ節を切除)
- 胸筋合併乳房切除術(乳房、腋窩リンパ節、胸筋を切除)
- 拡大乳房切除術(乳房、胸筋、複数箇所のリンパ節を切除)
上記手術と同時に以下の手術が行われる場合もあります
- インプラント再建のためのエキスパンダー挿入手術
- 筋皮弁法による乳房再建手術
医療保険について
乳癌の一般的な手術には医療保険が適用されます。乳癌の手術時に同時に行う乳房再建手術にも保険が適用されます。(アナトミカル型のインプラント再建術は2014年より保険適用になりました)自己負担分は3割です。
また手術時の入院費用も医療保険の対象になります。ただし、差額ベッド代や食費、パジャマのレンタルなどは医療保険の適用外になります。
高額療養費について
高額療養費制度は一ヶ月(1日から月末)にかかった自己負担額が高額になった場合に、患者の金銭的負担を軽減する目的で一定の金額を超過した分が後日返還される制度です。
自己負担限度額は所得によって異なり、2015年現在70歳以下の方の所得区分は5段階に設定されています。それぞれの負担額の計算方法は以下のようになります。
- 区分ア(標準報酬月額83万以上の場合)252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
- 区分イ(標準報酬月額53万~79万円の場合)167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
- 区分ウ(標準報酬月額28万~50万円の場合)80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
- 区分エ(標準報酬月額26万円以下の場合)57,600円
- 区分オ(低所者の場合)35,400円
70歳以上の方の区分と負担額は以下の4段階です。
- 月収28万以上の場合 80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%
- 一般 44,400円
- 総所得が0の場合 15,000円
- 3以外の低所得者の場合 24,600円
ただし、この高額療養費制度は後日返還されるものの、一旦は医療機関の窓口でかかった医療費を全額支払う必要があるため、限度額のみを支払う「限度額適用認定証」を利用する方が便利です。
限度額適用認定証は自分が加入している健康保険組合に申請すれば発行されます。こちらを医療機関の窓口に提出すれば精算時に自己負担限度額までの支払いにとどめることができます。
乳癌の手術では自己負担限度額を超えることが多いので、あらかじめ申請しておくと良いでしょう。限度額適用認定証の期限は1年なので治療期間内に期限が過ぎたら再度申請します。
手術以外にかかる費用
癌の進行度やサブタイプにより個別医療となった乳癌では、人それぞれに治療の種類が違うのでかかる総費用も人により異なります。
乳癌の治療は手術だけではなく、多くの場合は術後に放射線治療、投薬治療などが行われます。また、抗がん剤の治療をする場合や再発転移した場合にもさらに費用がかかります。
このように手術以外でもかなりの費用が必要となる事も念頭におき、公的な医療保険制度やご加入の民間の保険を今一度確認し、経済的な理由で治療に支障が出ないよう資金的な面からも治療計画を考える事も大切ではないかと思います。
まとめ
乳癌の手術に関わる費用について
手術の種類によって費用は異なります
医療保険について
高額療養費について
手術以外にかかる費用