もしあなたが乳癌と診断されたら、癌の摘出手術を受けることになります。女性にとって乳房を切除することはつらいことです。だからこそ、よりよい 手術 が受けられるように、 乳癌 に関する情報を集め、医師と話し合いながら、しっかりと乳癌を治していきましょう。
絶対に治したい…あなたにピッタリの乳癌の手術方法とは?
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乳癌の手術方法の変化
1900年代初頭の乳癌の手術は乳房を大きく切除するハルステッド手術でしたが、最近は可能な限り小さな範囲を切除する手術が行われています。
乳房内の癌の摘出手術として、近年は乳房温存手術、皮下全乳腺切除術、胸筋温存乳房切除術といった術式が行われ、わきの下のリンパ節に対する手術方法として腋窩(えきか)リンパ節郭清、センチネルリンパ節生検が行われています。
また、失った乳房を作るために、乳癌の切除と同時、あるいは術後に乳房再建術が行われています。
乳癌の治療方法は癌の病(ステージ)、癌の広がりや性質、患者さんの体力や病状などにより異なります。手術方法は乳房内の癌の広がりを「乳腺」「胸筋」「リンパ節」から判断し、決定していきます。
乳房温存手術
乳房温存手術には、乳頭を中心にして扇形に切除する扇状部分切除術と、癌と癌の端から1~2㎝程度の部分を拡大して円形にくりぬく円状部分切除術があります。
扇状部分切除術では乳房の切除範囲が1/4位になるため、乳癌の取り残しは比較的少ない術式ですが、乳房の左右のバランスや形に大きな変化がみられます。
一方、円状部分切除術では切除範囲が小さいため、乳房の変形は少ないのですが、癌の再発の可能性が高くなります。
そこで、乳房内での再発を防ぐために術後に放射線治療を行います。この方法を乳房温存療法といいます。目に見えない小さな癌を破壊するために効果的な方法であると報告されています。
また最近、乳房の温存が難しいときでも手術前の薬物療法で癌を小さくしてから、乳房温存手術を受けることもあります。
皮下全乳腺切除術と胸筋温存乳房切除術
皮下全乳腺切除術は乳頭と乳輪を残し、癌のできた全ての乳腺を切除する手術方法です。癌が大きかったり、乳房内の広範囲に広がっていたり、乳房内にいくつもの癌ができていたり、癌の摘出と同時に乳房の再建を望むときなどに選択される手術方法です。
術後は乳房内の再発の可能性が低くなります。また、胸筋を残すので、わきの下がへこんだり、肋骨が浮き出たりすることはありませんが、胸の膨らみがなくなるためボディラインが大きく変化します。
一方、胸筋温存乳房切除術では癌を含んだ全ての乳腺、乳頭、皮膚、腋窩(えきか)リンパ節を切除しますが、胸筋は残します。けれども癌の広がりによっては筋肉の一部を切除することもあります。
乳房再建術
乳房再建術は乳房の切除と同時、あるいは術後に自身の身体の組織や人工物を用いて乳房を作る手術方法です。皮下全乳腺切除術では胸の膨らみだけを作り、胸筋温存乳房切除術では、最初に胸の膨らみを作り、その後、乳頭と乳輪を作ります。
腋窩リンパ節郭清とセンチネルリンパ節生検
乳癌と共に、わきの下のリンパ節とその周囲の脂肪細胞を切除する手術を腋窩リンパ節郭清といいます。乳癌の転移の確認、再発予防や術後の薬物療法の必要性など術後の治療方針を検討するために重要な方法といわれています。
術後、手術をした側の腕のむくみ(リンパ浮腫)、わきの下の突っ張り感や肩の運動障害、上腕の内側の違和感などの知覚障害を起こすことがあります。
乳癌の塊から小さな癌が飛びだして最初に転移するリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。別名、見張りリンパ節といわれています。
センチネルリンパ節生検では、かなりの確率で腋窩リンパ節への転移の有無を予測することができるという報告があります。そのため、不必要な郭清を避けることができ、患者さんのリンパ浮腫などを減らすことができます。
乳癌の手術を受ける前にすべきこと…それは「あなたの乳癌を知る」ことです
乳癌治療の基本は癌を取り除くことです。あなたが乳癌と診断されたら、まずあなたの乳房の中にある癌のことをしっかりと理解しましょう。そして、手術をする前に、手術方法の長所や短所、術後に起こる障害の可能性、乳房の再建などについて学びましょう。
もし治療の過程で疑問や悩みが生じたら、独りで悩まずに医師や信頼できる周囲の人に相談をして、解決していきましょう。
あなたのかけがえのない命を乳癌から守るために、よりよい乳癌の治療方法を選ぶことをおすすめします。
まとめ
絶対に治したい…あなたにピッタリの乳癌の手術方法とは?
乳癌の手術方法の変化
乳房温存手術
皮下全乳腺切除術と胸筋温存乳房切除術
乳房再建術
腋窩リンパ節郭清とセンチネルリンパ節生検
乳癌の手術を受ける前にすべきこと…それは「あなたの乳癌を知る」ことです