乳癌 と診断された場合、どのくらい進行しているのか、 ステージ (病期)を把握することが必要です。
それは、ステージによって治療の見通しや予後そして治療方法を決めなければならないためです。女性の癌の発症部位一位の乳癌。ここで、ステージについてしっかり学びましょう。
乳癌のステージを知る
乳癌の進行とは
乳癌では、癌細胞が微小のうちに乳腺組織から飛び出し、リンパ管や血液の流れに乗り、乳房から離れた臓器(肺、胸膜、肝臓、骨、脳など)に転移巣を作るといわれています。
微小癌から転移巣ができあがり、それが大きくなることで症状が現れ、検査によって癌が発見されることを乳癌の進行と呼び、他の臓器に転移巣をつくりあげることを遠隔転移と呼びます。
乳房に癌が発見された時点で、すでに遠隔移転にをしている場合があります。遠隔転移をする乳癌は転移性乳癌と呼ばれます。すでに皮膚や胸壁にまで転移している場合は手術ができないことから局所進行乳癌と呼ばれます。
手術後の初期治療を行っている段階で転移巣が発見される場合は、再発乳癌と呼ばれます。再発乳癌でも、乳房だけに再発すれば局所再発とされますが、遠隔臓器(肺、肝臓、骨、脳)に再発することを転移性再発(遠隔再発)といいます。
早期乳癌なのか、局所進行乳癌なのか、転移性乳癌なのか、乳癌はステージ(進行具合)によって治療がかなり異なっていることもいっしょに覚えておきましょう。
非浸潤癌と浸潤癌
乳癌は、初めは乳管や小葉の中に留まっています。これを非浸潤癌といいます。この場合は、いわゆる「しこり」もわからない状態の早期癌です。
一方、この癌細胞が、基底膜(癌細胞が留まっている乳管や小葉)を打ち破り、増殖し、周辺組織あるいは他の臓器へ癌が広まっていくと、浸潤癌と呼ばれます。
浸潤癌になると、脂肪、リンパ節、血管へと広がり、ついには遠隔臓器(肺、肝臓、骨、脳など)へ転移してゆきます。
乳癌では、この微小癌(検査でも発見されないような微小のもの)が、周辺組織そして他の臓器へ転移する可能性が高いため、しっかり把握しなれけばなりません。
ステージの分類
ステージは、しこりの大きさ、リンパ節への転移、他の臓器への遠隔転移、これら3つの条件により決定されます。測定方法は、触診、マンモグラフィ、そして超音波です。乳癌のステージは0から4まで、全部で5つ。治療方針を決める大切な分類です。
ステージ0
極めて早期です。非浸潤癌で、しこりも無い状態です。治療は手術と放射線療法です。
ステージ1
早期乳癌です。しこりは2センチ以下で、リンパ節にも転移しておらず、乳房の外にはまだ広がっていない状態です。治療は手術と放射線療法そして化学療法です。
ステージ2
2つの段階に分かれています。第1段階は、しこりが2センチ以下でわきの下のリンパ節へ転移している状態、あるいは、しこりが2-5センチでもわきの下のリンパ節へは転移していない状態です。
第2段階は、しこりが2-5センチでわきの下のリンパ節へ転移している状態です。治療は全摘術を選択する場合が多いです。
ステージ3
局所進行乳癌と呼ばれます。3つの段階に分かれています。第1段階は、しこりが2センチ以下でわきの下のリンパ節へ転移しており、リンパ節同士で癒着が起きている状態、あるいは、わきの下のリンパ節へ転移していないが胸骨内側のリンパ節が腫れている状態、あるいは、しこりが5センチ以上あり胸骨内側のリンパ節へ転移している状態です。
第2段階は、しこりの大きさそしてわきの下のリンパ節への転移には関係なく、しこりが胸壁に固定され、皮膚にしこりが出ている状態です。炎症性乳癌とよばれる場合もあります。
そして第3段階は、しこりの大きさに関係なく、わきの下のリンパ節そして胸骨内側のリンパ節の両方に転移している状態、あるいは鎖骨上下のリンパ節に転移している状態です。治療は手術と放射線療法と化学療法です。
ステージ4
転移性乳癌です。すでに遠隔臓器(骨、肺、肝臓、脳など)へ転移している状態です。治療は手術は行われず化学療法が中心です。
まとめ
乳癌のステージを知る
乳癌の進行とは
非浸潤癌と浸潤癌
ステージの分類