乳癌の早期発見・早期診断・早期治療を目指して、ピンクリボン運動など、乳癌の知識を広める活動が街中で行われていますが、みなさんは乳癌検診を受けたことはありますか?これほど盛んに乳癌検診活動を行われるのには、乳癌のステージと予後が深くかかわっているのです。
そこで、今回は、 乳癌 の ステージ 分類と各ステージにおける予後についてお伝えします。
早期発見・治療が大切!乳癌のステージと予後の関係とは
転移・再発・局所再発とは
乳癌では、がん細胞がリンパの流れ(リンパ行性)と血液の流れ(血行性)の両方で全身に広がっていきます。
乳癌早期でも、補充療法によって予後が改善することから、早期であっても、微小の転移をしていると考えられています。それほど転移しやすい病気なのです。しかし、微小な転移巣を検査で発見することは非常に困難です。
微小な転移巣が大きくなると、症状がでて、検査でも発見できるようになります。これを「乳癌の遠隔転移」または「転移性乳癌」と呼びます。
また、手術や抗がん剤・放射線治療などを行った後に再発した場合「再発乳癌」といい、乳房内で進行して、皮膚や胸壁にまで進行した癌を「局所進行乳癌」といいます。
これらの癌は、根治(完全にがんを取り除くこと)が困難であり、予後不良因子となります。
乳癌の病期分類法とは?
乳癌の進行は「ステージ(病期)」で表されます。TNM分類とも言われ、しこりの大きさ(T)、リンパ節の転移(N)、遠隔転移(M)の程度で0からⅣ期に分けられます。手術で組織を採取して、病理組織をしっかり調べるとより正確なステージ分類が可能となります。
0期はごく早期で、乳癌が発生した乳腺の中にとどまっており、周りの組織に浸潤(しんじゅん)していないため「非浸潤癌」とも言われます。
Ⅰ期では、しこりの大きさが2cm(1円玉大)以下で、わきの下のリンパ節に転移していない段階です。つまり、乳房内のみで広がっている場合です。
Ⅱ期は、わきの下のリンパ節への転移を認める段階です。しこりが2cm以下ではⅡA期、2以上5cm以下はⅡB期となります。
Ⅲ期は局所進行乳癌とも言われ、細かい分類によりⅢAからⅢCに分けられますが、ポイントとしては、遠隔転移はなく、局所でがんが進行している段階です。
Ⅳ期は、遠隔転移している場合で、特に、骨、肺、肝臓、脳は転移しやすい部位です。
治療後に再発した場合はこの分類は適応されず、「再発乳癌」として扱われます。
5年生存率と予後
癌の予後を予測する際に、「5年生存率」、「10年生存率」などが用いられますが、がんを治療開始してから5年後あるいは10年後に生存している人の割合を表しています。完治したことを表しているわけではなく、この期間の間に、再発した人もいれば、治療中の人も含まれています。
各がんで、この生存率のデータがあり、基本的にこのデータを参考にして医師は患者さんに予後の話をしています。
乳癌では、Ⅱ期までに発見して治療を開始すれば、5年生存率は90%以上です。このために、乳癌の早期発見の重要性が叫ばれているのです。Ⅲ期以上では5年生存率は70%以下に低下し、他の臓器に遠隔転移しているⅣ期では約30%と半分を切ります。
乳癌の10年生存率
乳癌では、早期に治療を開始することで、前述したように5年生存率が高くなることが証明されています。では、10年生存率はどうでしょうか?
0期では約95%、Ⅰ期で約90%、Ⅱ期で約80%、Ⅲ期で約50%、Ⅳ期で約20%となります。10年生存率を見ても、Ⅱ期以内であれば、約7割の患者さんが生存しているということであり、やはり早期発見が重要ということがわかります。
まとめ
早期発見・治療が大切!乳癌のステージと予後の関係とは
転移・再発・局所再発とは
乳癌の病期分類法とは?
5年生存率と予後
乳癌の10年生存率