乳癌のステージという言葉を耳にされたことはありますか。乳癌の診断を受けると大きく5段階8期に分かれた癌の進行程度を表すステージと呼ばれる病期が示され、手術方法や手術前の治療の方針を決めるために使われます。
今回は 乳癌 の ステージ2 についてそれがどういう状態でどのような治療が行われるのかをご紹介いたします。
ステージ2の乳癌にはどんな治療方法があるのですか
乳癌ステージ2とはどんな状態か
乳癌のステージは「日本乳癌学会編 臨床・病理 乳癌取扱い規約」によるものが用いられることが多く、今回のご紹介もその規約に基づいています。ステージとは病期という意味で使われている言葉で癌の進行程度を表しています。
乳癌のステージは0~4期までに大別されますが、ステージ2はさらに2A期と2B期に分けられています。
2A期はしこりの大きさが2センチ以下で脇の下のリンパ節に転移しており、そのリンパ節が周辺の組織に固定されることなく動きがある場合。または、しこりの大きさが2~5センチでリンパ節や他の臓器への転移がない場合とされています。
2B期はしこりの大きさが2~5センチで脇の下のリンパ節に転移しており、そのリンパ節が周辺の組織に固定されることなく動きがある場合、または、しこりの大きさが5センチを超えるが、リンパ節や他の臓器への転移がない場合とされています。
乳癌のステージはどのように決まるのか
乳癌のステージはTNM分類という方法でしこりの大きさ、リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無を組み合わせて評価するという方法で決定されます。
Tで表されるのはしこりの大きさです。それぞれ、腫瘤として認めない、腫瘤のないパジェット病の状態、2センチ以下、2~5センチ、5センチ以上、大きさやリンパ節転移にかかわりなく多臓器への転移があるという6段階に分かれています。
Nで表されるのはリンパ節への転移です。それぞれ、転移がない、転移が1~3個、転移が4~9個、転移が10個以上という4段階に分かれています。
Mで表されるのは遠隔臓器転移です。それぞれ、転移がない、転移があるという2段階にわかれています。
乳癌ステージ2の治療とは
乳癌の治療の基本は外科的な手術になります。ステージ1~3の乳癌では必ず手術が行われることになります。
手術では癌と癌組織を含めた周囲の正常組織を摘出しますが、世界的に切開部位の縮小化が進んできていますので、日本でも2000年以降の乳癌手術の40パーセントが乳房温存術になってきています。
通常、乳癌の切除とともに腋下リンパ節郭清(えきかりんぱせつかくせい)といって脇の下のリンパ節を含む脂肪組織も摘出します。どの程度摘出するか、温存するかは癌の広がり方や癌の質によって決められます。
乳癌では癌を手術で摘出した後に再発予防のために術後放射線療法として放射線照射を行うことがあります。
放射線には癌細胞を死滅させる効果がありますが、病巣周辺の正常組織にも放射線が照射されてしまうことによる副作用も出現します。放射線を照射する広さや量は病巣の位置や大きさによって変わってきます。
乳癌の薬物療法はホルモン療法、化学療法、分子標的療法の3種類に大別されます。
ホルモン受容体をもっている乳癌は女性ホルモンのエストロゲンの刺激が癌の増殖に影響を与えると言われています。閉経前で卵巣機能が活発な時期の女性には抗エストロゲン剤、黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤を使用して女性ホルモンの分泌を抑えます。
閉経後の女性には選択的アロマターゼ阻害剤を使用してアロマターゼという酵素の働きから生まれる女性ホルモンの分泌を抑えます。このホルモン受容体をもっている乳癌は乳癌の7割を占めると言われています。
化学療法はいわゆる抗癌剤と呼ばれているものです。乳癌は比較的に抗癌剤が効きやすいとされています。注射や内服薬があり、癌細胞を死滅させる一方で正常細胞にも作用してしまいますので副作用もみられます。
乳癌の2~3割に癌細胞の表面にHER2というタンパクをもっているものがあります。癌の増殖に関与しているHER2を狙い撃ちするのがハーセプチンという分子標的療法です。
再発のリスクはステージによって一様ではありません。そのために手術で切除した病変は病理診断をうけることになります。癌の大きさ、広がり具合、悪性度、ホルモン受容体、HER2などさまざまな情報をもとにどの追加治療がどの程度必要かが決められるのです。
まとめ
ステージ2の乳癌にはどんな治療方法があるのですか
乳癌ステージ2とはどんな状態か
乳癌のステージはどのように決まるのか
乳癌ステージ2の治療とは