ステージⅠの10年生存率は90パーセント以上というデータが示すように、乳癌はとりわけ早期発見が大切な癌です。生理の周期などによって乳房の痛みを感じる女性は多いことと思いますが、 乳癌 の 初期 症状 として 痛み を感じるというようなことはあるのでしょうか。
乳房の痛みが乳癌の初期症状の可能性はありますか
乳癌の初期症状
乳癌の代表的な初期症状はしこりです。よく言われるのはこんにゃくの下に豆を置いて触った感触に似ているという例えです。生理が終わって4~5日目にお風呂で片手を軽くあげて石鹸をつけた乳房に触ると見つけやすいと言われています。
乳管内にできた癌から血の混じった分泌物が出ることがありますので、乳頭を軽くつまんで血性分泌物があるような場合も要注意です。
手をあげた際にひきつれを感じるのも重要な初期症状の可能性があります。反対に前かがみになって両手をだらんと下げた状態で乳房の窪みなどの変形に気づくというようなこともあるようです。
乳房の痛みを伴う疾患
乳房の痛みを伴う疾患で最も多くみられるのは乳腺症です。乳腺症は乳房の老化現象とも言われていて、厳密に言えば疾病と言うより生理的な変化にあたります。
長年にわたり卵巣ホルモンの影響下で増殖と委縮を繰り返してきた乳腺が、増殖したまま元に戻らなくなったり萎縮したまま線維化したりして混在することが原因で起こります。この混在がしこりとして触れてくるようになるのです。
乳腺症の症状は乳房の痛みやしこり、乳頭からの分泌物など乳癌の症状と非常に似ています。実際、このような症状を訴えて受診した場合には乳癌と同じ検査を受けることになります。
マンモグラフィーや超音波検査、しこりがあるならば乳房に針を穿刺して細胞診をして乳癌でも繊維線種でもないことがわかってはじめて乳腺症であるという診断が下されます。
乳腺が何らかの細菌感染によって炎症を起こす乳腺炎でも腫れや痛みを伴います。授乳期の授乳期感染症とそれ以外の非授乳期感染症があります。
疾患ではないものの生理前に乳房がパンパンに張って痛む方もあると思います。
10代の女性で胸が大きくなる成長痛を感じる方もあるでしょう。豊かな乳房の方は乳房内の乳腺も多いので引っ張られる形になって痛むということもあるようです。激しい運動で乳房が揺れると乳房内の乳腺も刺激を受けて痛むこともあります。
中年以降の方では肋間神経痛であることも考えられます。中高年の病気だと考えられている肋間神経痛ですが、若い方でもストレスや運動過多などで発症することがあります。
乳癌の初期症状としての痛み
排卵から次の生理までに分泌されるホルモンの影響で乳房が張ったり痛んだりする周期性乳房痛や閉経後の女性にみられる非周期性乳房痛などホルモンの変動が原因になっている乳房痛では両方の乳房が痛むことがほとんどです。
そのため、片側の乳房の一部が痛む場合は乳癌の初期症状ではないかと考えられることが多いようです。
乳癌はしこりがあっても痛みを伴わないという解説を読まれたことがある方は多いことと思います。しかし、実際には乳房の痛みを主訴として受診した結果乳癌が見つかったとか、肩の痛みから乳癌が見つかったというようなことが一定数はあるのです。
乳癌の初期は痛みがないものであるという思い込みほど怖いものはありません。せっかくの早期発見のチャンスをみすみす逃してしまうかもしれないからです。
「片方の乳房だけチクチクした」とか「乳房の奥を針でつかれるような感じがした」というような実際に痛みから乳癌を見つけた方々の声を心に留めておくことは必要ではないでしょうか。
乳癌の早期発見のためには入浴の際のちょっとしたチェックや生理が終わって4~5日目の自己検診、そして定期健診の受診が何より大切です。そして、痛みなどいつもと違う何かを感じた場合には迷わず専門医を受診することをお勧めします。
痛みを伴う乳腺症と診断された方もそうでない方も乳癌を発症する確率は同じだと言います。そのような意味でも乳腺症の痛みだという思い込みも危険です。高い低いはあるにせよ、誰しも発症する可能性があり、早期発見すれば治癒する可能性が高くなることを忘れてはならないでしょう。
まとめ
乳房の痛みが乳癌の初期症状の可能性はありますか
乳癌の初期症状
乳房の痛みを伴う疾患
乳癌の初期症状としての痛み