「抗がん剤による乳がん治療(前編)」では、 乳がん の治療法や化学療法、 抗がん剤 についてご説明いたしましので、後編では抗がん剤の副作用についてご紹介します。
乳癌の場合、外来通院により抗がん剤治療を行うことも多く見受けられますので、しっかりと通院をしましょう。
抗がん剤による乳癌治療(後編)
抗がん剤の副作用
抗がん剤は全身に作用するため、どうしても副作用が出てしまいますが副作用と上手く付き合うことで、抗がん剤治療を続けることができます。
ただし、副作用の出方には個人差があり、どうしても辛く我慢できない場合は主治医や看護師に相談してください。また、用いる薬剤により副作用発現の度合いも変わってきます。
副作用がひどく中止した治療があっても、別の治療法では副作用が軽度であることもあります。医療スタッフと一緒に最適な治療法で乳癌と闘いましょう。
吐き気、嘔吐、食欲不振
出現頻度の高い副作用の1つですが、適切な吐き気止めを用いることにより改善できます。基本的には治療開始初期頃にひどく現れますが、症状は徐々になくなることがほとんどです。
口内炎
抗がん剤投与後2~10日後頃に発生しやすく、2~3週間で改善することがほとんどですが、口内炎が生じると生活に支障が出てくることがあります。
口腔内を普段から清潔に保つことである程度予防することができます。気付いたときにはうがいをする、こまめに歯磨きをする、などを心がけましょう。
骨髄抑制
好中球の減少によって感染しやすくなります。治療中は人ごみにはできるだけ行かないようにし、手洗いうがいを励行するようにしましょう。また、可能であればインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種し、感染予防を行いましょう。
脱毛
治療中はほとんどの髪が抜け落ちます。これは防ぎようがありませんが、治療が完了すれば必ず回復します。女性にとっては大きな負担となりますが、様々なウィッグや帽子で普段できないおしゃれを楽しむ気持ちで、前向きに治療を続けてください。
膀胱炎
発生頻度は高くないですが、生じる場合があります。水分摂取を心がけることで防ぐことができます。
末梢神経障害、筋肉痛、関節痛
手足のしびれや、感覚が鈍くなったりする場合があります。筋肉や関節の痛みは温めたりマッサージすることで改善できることがあります。
その他
呼吸困難、浮腫、胸痛、爪や皮膚の変色などがあります。
上記以外にも気になる症状が少しでもある場合は、必ず主治医に伝えるようにしてください。
抗がん剤治療を受けることになったら
乳癌の場合、抗がん剤治療は入院して行うのではなく、外来に通院して行うことがほとんどです。そのため医療スタッフは24時間患者さんの状態を確認することはできません。
抗がん剤による副作用は、薬剤を使用してすぐに発現するものもあれば、数日後、数週間後に症状が出る場合もあります。
これくらいなら大丈夫かな、ただの風邪かな、など自己判断せずに、少しでも気になる症状が出た場合は必ず主治医あるいは他の医療スタッフに報告をし、その後の指示を仰ぐようにしてください。
また、抗がん剤治療には患者さんの積極性が非常に重要となってきます。病院に通院してもらわなければなりませんし、内服薬があればきちんと自分で正しく服用してもらわなければなりません。
そのためには、患者さんご自身が抗がん剤治療の内容やスケジュール、副作用などをしっかりと理解していただく必要があります。
治療がスタートする前には納得できるまで説明してもらい、分からないことは遠慮せずに聞くようにします。また、治療途中でも分からないことが出てきたり、病気のことで不安になってきたときには説明をしてもらうようにしましょう。
まとめ
抗がん剤による乳癌治療(後編)
抗がん剤の副作用
抗がん剤治療を受けることになったら