乳癌は、欧米の女性に発症しやすい病気であるとみられ、日本人女性はその20パーセント程度と少なかったのですが、今日では急増し、2000年には女性のかかる癌の第一位となり、30代から60代の女性の病死原因の第一位となりました。
乳癌はその病期ごとに「ステージ」と表現されており、しこりの大きさや他の臓器への移転で判断されます。ステージが進行すると死亡率は上がってきます。
しかし早期発見が出来れば、治癒率も高いということが 乳癌 の特徴です。乳房のしこりは自分で触ってもわかるものが多いため、自覚しやすいと言えます。普段から自身で意識を持ち、定期的な 検診 を行い備えておきたいものです。
定期的な検診で乳癌に備える
検診の種類
日本における癌検診には、ふたつの種類があります。「対策型検診」は、ある集団の死亡率を下げることを目的とした検診で、市区町村や職場などが設けた公的な予防対策です。
受診者の不利益が最少になることが基本となっており、公的な補助金が出るので、受診者は無料もしくは少額の負担で受診が出来ます。市区町村から送られてくる検診の案内の葉書は、これに該当します。是非とも活用したいものです。
もうひとつの「任意型検診」は、個人が自らの病死するリスクを下げるために任意で受けるもので、人間ドックがその代表です。
基本的には全額自己負担となるので、対策型検診と比べると負担額は多くなりますが、健康保険組合から補助金が出る場合もあるようです。検診内容の料金や種類、オプションで追加できる項目の種類は医療機関によって異なります。
乳癌検診における問診
検診の際には、口頭、もしくは問診用紙に記入することにより、最近の体の調子や病気に関する質問をされます。
質問される項目としては、年齢、生理周期や月経の状況、出産、授乳の経験、家族で癌になった人がいるかどうか、過去に検診を受けた場合はその結果、しこりがある場合はいつ気づいたのか、大きさは変化しているか、痛みがあるか、などです。
生理周期は事前にカレンダーで管理をし、メモを取っていくなどして、正しく答えられるように用意しておくと良いでしょう。
検診の流れ
「視触診」、「マンモグラフィ検査」、「超音波(エコー)検査」が乳癌検診の主な手段です。
視触診とは、医師が乳房を観察し乳房にくぼみがないか、手で触れてしこりやリンパ節の腫れがないか、乳頭からの分泌物はないかなどを調べることです。しかし、しこりが乳癌であった場合、ある程度まで大きくならないと視触診だけでは発見できないこともあります。
その点マンモグラフィ検査は、視触診では発見できない小さな乳癌の発見に適していると言えます。
やり方としては、乳房をプラスチックの板で挟み圧し広げてX線撮影をします。多少の痛みは伴いますが、板で圧し広げることで診断がしやすくなり、また被ばく量もおさえることができます。ただし、この場合の被ばく量は、自然界の放射能レベルと同じ程度の量ですので、心配はいりません。
40歳未満の女性の場合、乳腺の密度が高いためにマンモグラフィ検査の撮影で白い部分が多く写り、しこりの有無がわかりにくいことがあります。そのような場合、超音波検査を用いればしこりの判断をすることができます。そして、多くは良性か悪性かの判断をすることもできます。
確実な診断には複数の検査を行う
場合によっては、マンモグラフィ検査と超音波検査のどちらかでしか発見できない乳癌もあるため、精密検査において判断を必要とする際には、マンモグラフィと超音波検査の両方を行うことが一般的です。
また、画像診断で良性か悪性かの判断が難しい場合や癌が疑われる場合には、乳房に針を刺して細胞や組織を採取し顕微鏡で観察する「細胞診」や「組織診」が行われることもあります。
更に、乳癌であると判明した際には、その広がりを調べるために「MRI検査」をすることもあります。
40代からは注意!早期発見にはマンモグラフィ検査が必要
しこりとして触れない程度の早期の癌を発見するには、マンモグラフィ検査が必要となります。日本人女性の乳癌発生のピークは40代後半で、厚生労働省は40歳以上の女性は2年に一度のマンモグラフィ検査を受けるようすすめています。
欧米では80割の女性がマンモグラフィ検査を受けていますが、日本人女性においては2割程度の人しか受けていないのが現状です。
早期発見が出来れば治癒率の高い病気であるにもかかわらず、検診が活用されていないというのは勿体無いことです。近年では市区町村や会社等からの助成もありますから、案内が来たら是非とも活用し、乳癌検診を受けましょう。
まとめ
定期的な検診で乳癌に備える
検診の種類
乳癌検診における問診
検診の流れ
確実な診断には複数の検査を行う
40代からは注意!早期発見にはマンモグラフィ検査が必要