乳癌は現在、30代~60代日本人女性の病死原因の第一位となり、12人に一人がかかる病気です。早期発見ができれば治癒率は高いものの、病期(ステージ)が進むと他の臓器への転移が起こりやすく、死亡率が上がります。
乳癌 は他の癌と同様に、根本的には遺伝子異常が 原因 で発症します。かつては欧米の女性に多い病気でしたが、近年では日本人女性において乳癌が急増しているのです。その背景には生活習慣の変化が大きく関係していると考えられています。
根本的な原因、そして生活習慣の変化による発症リスクを高める原因、その両方を知り、乳癌について正しく理解し備えたいものです。
日本人女性に急増している乳癌の原因
癌の発生原因
癌にはその出来る場所により色々な名称がありますが、全ては遺伝子異常が原因です。人間の細胞は、普段生活をしている中で放射線やウィルスなど様々な影響を受けています。そうして遺伝子が傷つき変異を起こし、癌化する第一歩となるのです。
乳癌に関しては、この変異を起こした細胞に女性ホルモンの「エストロゲン」が作用し、発生・増殖を促すと考えられています。
乳癌とエストロゲンの関係
エストロゲンは女性にとって大切なホルモンですが、乳癌の約6~7割に対して癌細胞の成長を助ける働きをすると言われています。よって、エストロゲンの刺激にさらされる期間が長いほど、乳癌を発症する可能性は高くなるとされています。
体内のエストロゲンの量が多いこと、または体外からのホルモン摂取として、経口避妊薬(一般的に「ピル」と呼ばれるもの)の使用や閉経後のホルモン補充療法によって、乳癌のリスクは通常よりも高くなると考えられます。
生活習慣の変化がもたらしたリスク要因
現在日本では乳癌が急増しており、女性全体における癌患者の中で、1999年には胃癌を抜いて乳癌が第一位になりました。そして毎年1万人を超える人が乳癌によって亡くなっています。
この増加の背景には、日本人の食生活の欧米化や、女性の社会的進出にともなう出産の高齢化、独身の増加などが考えられています。
昔と比べ、日本人の栄養状態はとても良くなりました。食事は欧米化が進み高たんぱく、高脂肪、高カロリーになり肥満も増加しました。よって近年では子供の身体の発達が早くなり、初経年齢が低くなり閉経も遅くなりました。
また、女性も男性と同じように社会でキャリアを積むようになり、晩婚化し、初めての出産が高齢である傾向にあります。更に独身の人も増え、出産歴も授乳歴もないという人も居ます。こうした背景が要因で、生涯で乳腺がエストロゲンの刺激にさらされる期間が昔と比べて増えているのです。
また、肥満になると脂肪に蓄えられる女性ホルモンの量も増えるので、その過剰な女性ホルモンの蓄積が乳癌発生のリスク要因になり得ます。
その他の原因
一等親の家族で乳癌発生歴がある場合、遺伝的に自身にも発生するリスクがあると考えられています。したがって、自分の母親や姉妹が乳癌になったという人は、注意が必要です。
また、飲酒の習慣により乳癌発生のリスクが高くなるということも、おそらく確実であるとされています。
生活習慣の改善で乳癌発生リスクは減る可能性がある
こうしてみてくると、遺伝的なものやどうしても変えられない生活環境は別にして、自身で気を付けることができるものもたくさんあるように思えます。乳癌が近年急増しているのは、現代の日本が生んだ生活習慣病とも言い得るのかもしれません。
高たんぱく、高脂肪、高カロリーな食事を控え、適度に運動をし、飲酒はほどほどにする。そのようなことを心がけ健康的に生活することで、乳癌の発生リスクを少しは減らすことが期待出来ると言えます。
まとめ
日本人女性に急増している乳癌の原因
癌の発生原因
乳癌とエストロゲンの関係
生活習慣の変化がもたらしたリスク要因
その他の原因
生活習慣の改善で乳癌発生リスクは減る可能性がある