無月経とは、その病名が示すとおり月経が止まる病気です。放置すれば不妊症の原因にもなりますが、 無月経 だからと言って 妊娠 できないとは限りません。病気を知り、適切に治療し妊娠できる体づくりに努めましょう。
無月経を治療し妊娠できる体づくりをしましょう
月経と妊娠の関係
月経があれば妊娠できると思われがちですが、月経があっても排卵がなければ妊娠することはできません。妊娠するために重要なことは排卵であり、無月経でも適切に治療し排卵を起こすことができれば、妊娠できる可能性があります。
無月経の分類
無月経には2種類あり、18歳を過ぎても初経がない「原発性無月経」と、一度は月経があったものの、その後3ヶ月以上月経が来なくなる「続発性無月経」に分類されます。
原発性無月経の原因は多くあり、染色体異常や、ホルモンバランスを司る脳の機能に障害があるなどの場合が考えられます。
染色体異常により、外見は女性でも遺伝子的には男性であるといった場合は妊娠できませんが、原発性無月経の場合でも早期に治療を開始することで妊娠が可能になることがありますので、必ず婦人科を受診するようにしましょう。
続発性無月経は、過度なダイエットやストレスにより脳の視床下部の機能が低下することでホルモンバランスが乱れて起こることが多く、他には多嚢胞性卵巣症候群や高プロラクチン血症といった病気により引き起こされる場合があります。
どちらの場合も、無月経の原因に応じた治療をすることになりますが、妊娠を望む場合は無月経の治療と共に、排卵を阻害している原因を取り除き、排卵を誘発する治療が行われます。
原因別の対処法
ここからは、前述の続発性無月経について、原因別に対処法を挙げていきます。
ダイエットやストレス
過度なダイエットにより心身にストレスがかかると、脳の視床下部や下垂体の働きが悪くなり、ホルモンバランスが乱れ無月経となります。
女性アスリートが、体重制限やトレーニングのストレスにより月経周期に異常を発することがありますが、過度なダイエットにより一般の女性にも同様のことが起き得ます。
ダイエットやストレスが原因である場合は、ホルモン剤の服用により月経を起こす治療が行われます。
また、薬だけでなく、ストレスの原因を取り除くことや食生活の改善など、根本的な生活習慣の見直しも必要です。体重が極端に減っている場合は、体重を元に戻すこと自体が治療になります。
多嚢胞性卵巣症候群
卵巣内の男性ホルモンが多いため卵胞の発育が悪く、排卵に障害を来たす病気です。黄体ホルモンと、血糖値を下げる働きを持つインスリンというホルモンの関係が指摘されており、これらのホルモンが卵巣に強く作用してしまうことで卵巣内の男性ホルモンが多くなります。
年齢とともに排卵障害が進むため、妊娠の希望がある場合は内服薬による排卵誘発が行われます。内服薬にはクロフェミンなどが処方されますが、漢方薬が効く場合もありますので、希望があれば医師に相談してみましょう。
内服薬による効果が薄い場合には注射による排卵誘発が行われますが、注射に過剰反応してしまうこともあり、その後は体外受精をすすめられます。
また、インスリンによる影響が強い場合は、糖尿病の薬が排卵障害を改善することもわかってきており、2~3ヶ月薬を内服することで効果があらわれます。血糖値の血液検査を行い、糖尿病には至らないが血糖値が高めであると判断されると、薬が処方されます。
高プロラクチン血症
高プロラクチン血症は、母乳の分泌を担うプロラクチンというホルモンの血中濃度が高くなる病気です。授乳中の女性は無月経の状態となり排卵も起こらなくなりますが、授乳中ではない女性においてプロラクチンの値が高まると、授乳中と同様、無月経になります。
高プロラクチン血症は、ピルや抗うつ剤の長期使用や、下垂体に腫瘍ができることでホルモンバランスが乱れ発症します。ホルモンバランスの乱れが原因ですので、このような明らかな原因がない場合はストレスが原因であることもあります。
薬が原因である場合は、その薬の服用を止め、プロラクチンを低下させる薬を服用します。ストレスが原因である場合も同様です。腫瘍が原因である場合、薬物・放射線療法を行い、腫瘍が大きい場合は摘出手術を行います。
無月経は早期治療が重要です
このように、無月経の原因は多くあり、その原因に応じた治療が必要です。無月経の治療は早期に開始するほど治療効果が上がり、妊娠できる可能性も高まりますので、無月経に気付いたら、早期に婦人科を受診しましょう。
まとめ
無月経を治療し妊娠できる体づくりをしましょう
月経と妊娠の関係
無月経の分類
原因別の対処法
無月経は早期治療が重要です