高プロラクチン血症とは、血液中のプロラクチンというホルモンの濃度が高くなる病気です。乳汁を分泌させるホルモンとして知られるプロラクチンですが、多量に分泌されると無排卵月経を引き起こすなど、不妊症にもつながる病気です。
高プロラクチン血症 の 原因 とは何か、対処法を含めてご紹介します。
高プロラクチン血症の原因と対処法
高プロラクチン血症の主な原因は3つ
プロラクチンは授乳期に乳汁を分泌させるとともに、排卵を抑制する働きがあります。出産後、生まれたばかりの子供を育てる間、次の妊娠をしないようプロラクチンの働きにより排卵が抑制されますが、出産をしていないにも関わらず同様のことが起きるのが高プロラクチン血症です。
プロラクチン値が高くなるため排卵障害や黄体機能不全を引き起こし、不妊症にもつながりますので、適切な治療が必要です。
高プロラクチン血症の主な原因は、「プロラクチン生産腫瘍」、「視床下部の機能障害」、「薬剤によるもの」の3つです。
その他、甲状腺の機能が低下している場合にもプロラクチン値が高くなることがありますが、先に挙げた原因が全体の7割以上を占めます。どのような治療法があるか、原因別に見ていきましょう。
プロラクチン生産腫瘍には有効な薬があります
プロラクチン生産腫瘍は、ホルモンの分泌をコントロールする脳の下垂体にできる腫瘍です。腫瘍の大きさにより、大きくなると視力が低下するといった症状を伴うこともあります。小さい腫瘍も多く、原因不明の場合は画像診断では分からない小さい腫瘍があると考えられます。
治療法は、腫瘍が大きい場合には手術をし、小さい場合には薬物療法を行います。薬物療法の場合、この腫瘍にきわめて有効な薬があり、妊娠しても胎児に悪影響は認められていないため、腫瘍の大きさにもよりますが薬物療法が第一の治療の選択肢となります。
視床下部の機能障害
前述のとおり、脳の下垂体はホルモンの分泌をコントロールしています。その下垂体にホルモンを分泌するよう命令するのが視床下部であり、視床下部に異常が起きると、下垂体からのホルモン分泌にも異常が生じます。
プロラクチン生産腫瘍と同様、腫瘍が原因である場合もありますが、明らかな原因がない場合は、ストレスが原因であると考えられます。
また、日中はプロラクチン値が正常にも関わらず、夜間のみ高くなる潜在性高プロラクチン血症と呼ばれる状態を示すものもあります。潜在性高プロラクチン血症は夜間のみプロラクチン値が高くなるため、通常の血液検査では診断が付かないことがあります。
排卵障害や黄体機能不全により妊娠しにくい場合は、潜在性高プロラクチン血症の可能性も考え、血液検査を受けましょう。
治療法は、腫瘍があれば腫瘍を取り除く手術を行うこともありますが、ストレスや潜在性高プロラクチン血症の場合は薬物療法となり、プロラクチンの分泌量を下げるドーパミン製剤を服用します。
薬の副作用でもプロラクチン値は上がります
薬を長期に服用することでもホルモンバランスが乱れ、高プロラクチン血症を引き起こすことがあります。抗うつ剤や胃薬によることが多く、その中でも抗うつ剤のドグマチールの副作用としてよく見られます。
薬剤によりプロラクチン値が高い場合は、薬の服用をやめればプロラクチン値は正常に戻りますが、プロラクチン値を下げる薬を服用する、又は薬の量をコントロールすることで、元々の病気の治療を続けることもあります。
挙児希望がなくても適切な治療を受けましょう
高プロラクチン血症は、不妊に気付き検査を受けて発覚することが多い病気です。妊娠を希望しない場合でも、月経不順や無排卵の場合、高プロラクチン血症の可能性があることを記憶に留め、医師と相談の上、適切な治療を受けましょう。
まとめ
高プロラクチン血症の原因と対処法
高プロラクチン血症の主な原因は3つ
プロラクチン生産腫瘍には有効な薬があります
視床下部の機能障害
薬の副作用でもプロラクチン値は上がります
挙児希望がなくても適切な治療を受けましょう