閉経を迎えた女性達の約80%が更年期障害のあらゆる症状を実感していて、その中の約25%が日常生活にも支障を来すほどだといわれています。
この中であらゆる精神的、肉体的な 更年期障害 の症状を緩和させるために、比較的安心な 漢方 薬を取り入れている方がたくさんいらっしゃいます。
漢方薬で更年期障害の症状を緩和
漢方から見た更年期障害
婦人科での更年期障害の治療というと、一般的な治療法としてホルモン補充療法が挙げられますが、これは更年期障害の症状が閉経によって女性ホルモンの分泌が急激に減ったことから起こる症状であるために、その女性ホルモンを補充するという考え方から行われている主流の方法です。
漢方では女性は7年ごとに体の転機を迎えると考えられていますが、女性は42歳を過ぎると卵巣機能が衰えて生理不順になり、49歳前後で閉経を迎えると考えられています。
この転機に起こる症状を治療するために、昔から漢方薬が利用されて来ました。基本的に漢方では「気・血・水」(き・けつ・すい)を中心に体の不調を探るようになっていますが、この更年期障害は気と血に不調が起こることによって現れる症状だと考えられています。
気・血・水とは
更年期障害を漢方での気・血・水から見ると、頭痛は血流が滞るお血、めまいは血液不足から起こる血虚、ホットフラッシュは気の流れに問題が起こる気逆であると考えられています。
これらの症状から漢方薬を処方することになるのですが、漢方薬は体に優しく、ひとつの漢方薬処方により複数の症状の緩和が期待できますので、これらの点が大きなメリットだといえるでしょう。
体質を正確に見極めて漢方薬が処方された場合、体への負担を最小限にしながらあらゆる症状の緩和が期待できます。
症状別に処方される漢方薬
漢方ではまず病名を決めてから処方や治療を行うのではなく、患者の証(体質や体調)を見て治療の方法を決定します。
証を見極めるために体力や抵抗力を示す「虚・実」がありますが、これらが充実している場合は実証、どちらも弱い場合は虚証、バランスが取れている状態を中間証といいます。
これらの証によって同じ病気でも違う薬が処方されたり、違う病気でも同じ薬が処方されることもあり得ます。ですから同じ症状であったとしても証が違う場合には違う薬が処方されるので、更年期障害に効果のある漢方薬は何かと一概に言うことはできません。
基本的にイライラを改善するには気滞を改善するために逍遥散や加味逍遥散などが、めまいには痰湿を除去するために抑肝散加陳皮半夏や釣藤散、顔のほてりには瀉火補腎丸や杞菊地黄丸が処方されています。
しかし先ほど申し上げた通り証のタイプによって処方が変わってきますので、自分に合った漢方薬を見つけるには、漢方薬の専門医にご相談ください。
更年期障害との賢い付き合い方
更年期障害は重病ではありませんが、本人や回りの家族がお互いにストレスを受けて苦しんでいるケースも少なくありません。更年期障害の症状が確認されたら専門医の診断を受けて、適切な治療や処置を行う必要があるでしょう。
また病院での診察や治療と共に、自分に合った漢方薬やサプリメントを併用して乗り切る方も増えてきており、さらにストレスを解消して十分に休息を取るなど、日常生活で心身ともに健康な生活を送ることができるように心掛けましょう。
女性ならば誰でも経験するのが更年期障害です。ただ一人で我慢したり無理する必要はありません。症状を緩和させるための方法は様々ありますので、専門医と相談しながら自分に合った治療方法を探して、焦らずに上手に乗り切ることができる方法を見つけてください。
まとめ
漢方薬で更年期障害の症状を緩和
漢方から見た更年期障害
気・血・水とは
症状別に処方される漢方薬
更年期障害との賢い付き合い方