更年期 は少し憂鬱なイメージがあるかもしれませんが、実は女性なら誰でもが経験する体や心の変化の時期。思春期があるのと同じように、人間として自然な経年の過程です。
この時期の基本的知識を身につけておけば、その後約30年間の人生を充実したものとして捉えることができます。
更年期は新たな出発の時期
更年期とは
更年期とはよく耳にしますが、具体的には、女性の閉経を基準にした前後5年間を意味し、約10年間のことを言います。およそ45~55歳と言われていますが、その方の閉経を基準に考えますので、個人差があるということになります。
40代半ばごろになり、今までとは違う月経の変化や不調を感じたら、更年期のはじまりという目安にできます。
この更年期には約99%の方が月経不順など月経に関する不調を感じながら閉経への過程を経験し、その他にも頭痛やほてり、関節痛、気分の落ち込み、など様々な体や心の変化、症状を感じます。
この更年期症状が軽く、なんとなく気にならずに済んでしまった、またご自分の生活改善などで対応できた、というようなケースはそれで済みますが、症状が重く通常の生活が送れず、医療機関の助けを必要とする場合を更年期障害と総称して、治療の対象と位置付けています。
更年期におこる変化の原因は
女性は30代後半位から卵巣の機能低下が始まり、女性ホルモンの中で特に大切と考えられているエストロゲンも減少し始め、ホルモン全体のバランスが崩れます。
そのため自律神経が乱れやすくなり、精神的なストレスなども感じると、更年期症状を引き起こすと考えられています。
特に、閉経前後の頃にはエストロゲンは急激に量が下がることがわかっており、月経など女性の体の通常機能も十分に保持できなくなります。
今まであった大切なホルモンが急に減り、体は慌ててその環境に慣れようと様々に変化するため不調が起きるのです。
こういった症状や障害は程度にも個人差があり、1~2年で収まる方もいれば7~8年ほど治療にかかってしまう方もいます。
更年期の症状と障害の具体例
更年期の症状は人それぞれで、これらの症状が複合的に現れることもあります。また、これ以外にも様々な症状があります。
身体的症状の代表例
のぼせ、急に顔や体がほてる、冷や汗、多汗、息切れ、血圧の急上昇や急降下、めまい、手足の冷え、ふるえ、しびれなど
その他の症状
関節の痛み、腰痛、皮膚の乾燥・かゆみ、ドライマウス、尿漏れ、頻尿、膀胱炎、月経不順、無月経、不正出血など
心理的症状の例
いらいらする、情緒不安定、不眠、やる気の低下、なんとなく落ち込む、物忘れ、頭痛、理由もなく泣きたくなる、うつ的症状など
更年期の不調、その最近の治療法は
更年期の症状かしら、と疑問に思われたら婦人科を受診することをおすすめします。血液検査により簡易更年期指数というものがわかりますので、治療の必要性などを比較的簡単に診断できます。
ホルモン補充療法(HRT)
女性ホルモンのエストロゲンを補充します。方法としては飲み薬や注射や貼付薬があります。副作用や、子宮体がんなどになるリスクが少し高まるなどの報告も見られますので、医師とよく話し合ってください。
薬物療法
自立神経調整薬、睡眠薬、精神安定剤、抗うつ剤などの飲み薬による治療です。
漢方薬
効果が現れるまでに少し時間がかかることもありますが、副作用のデメリットが少なく、また複数の症状に効果を発揮します。
そして、ほとんどの場合ほかの治療法と併用ができ、ホルモン剤が使えない場合に選択肢として選べます。ただ体質により効果に違いがありますので、体調の変化に注意を払い、医師と相談しながら活用することが大切です。
心理療法
近年心理的な不調を訴える方は非常に多いです。場合によって診療内科などを利用し医師と話をする中で、以前のように自信を取り戻すことができたり、生活習慣や思考のバランスを見直すことができます。
更年期の捉え方
女性の更年期は、閉経により女性としての自信喪失を感じたり、子供が自立していく時期の空虚感、家族の介護の重圧、自身の老化を感じること、近親者との死別経験など生活環境に変化も多く、大変ストレスを感じやすい時期です。
体の変化、心の変化、社会的立場の変化などが複雑に影響して症状や障害へつながりますので、辛さを感じたらあまり一人で長い時間我慢せず、不調や不安を早めに周囲の方や病院へ相談することが大切です。今は、様々な良い治療法や薬が研究されています。
更年期のあとには新たに楽しめる人生が約30年もあります。人生の折り返し地点と捉え、今後の充実した人生へ向けての出発時期と考えることができます。
まとめ
更年期は新たな出発の時期
更年期とは
更年期におこる変化の原因は
更年期の症状と障害の具体例
更年期の不調、その最近の治療法は
更年期の捉え方