結果論として、あなたは甲状腺機能低下症ですよと診断されても動揺するばかりです。いったいどうしてそうなってしまったのでしょうか?私たちの活動的身体機能、成長や発育、そして新陳代謝を正常に保つ役割を担う甲状腺と甲状腺ホルモン。
甲状腺機能低下症 は、漠然そして曖昧に進行します。気づかないで放っておく方も多い疾患です。早期治療が肝心ですので、ここでは 発症原因 について調べてみます。
甲状腺機能低下症の4つの発症原因
甲状腺機能低下症の原因
甲状腺機能低下症の原因は主に4つ。甲状腺そのものが障害をもっており機能していない原発性甲状腺機能低下症、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、ヨード(ヨウ素)過剰摂取、そして医学的治療がきっかけとなる甲状腺機能低下症です。以下に詳しく説明いたします。
原発性甲状腺機能低下症
原発性甲状腺機能低下症では、甲状腺そのものが障害をもっていたり、あるいは全く機能していないことが原因で甲状腺機能低下症を発症します。
一般的に、その原因は橋本甲状腺炎(慢性甲状腺炎)といわれています。橋本甲状腺炎とは自己免疫疾患で、なんらかの要因により甲状腺に白血球が侵入し、甲状腺を攻撃する抗体が作られ、慢性的な炎症が生じます。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
生まれたときから甲状腺機能が低下していることが原因です。クレチン症とも呼ばれます。約3,000―4,000人に1人の割合の赤ちゃんがこの状態で生まれてきているといわれています。
無甲状腺症といって甲状腺が無い、甲状腺低形成といって甲状腺が小さい、異所性甲状腺といって甲状腺が正常の位置にない、甲状腺ホルモン産出障害といって甲状腺がうまくホルモンを作れない、といった原因です。
新生児の段階の血液検査で甲状腺機能低下が発見された場合、甲状腺ホルモン剤を継続して内服させ、定期的に血液検査を受けながら、甲状腺ホルモン値を正常にしてゆきます。しかし、回復がみられないようであれば、一生に渡り甲状腺ホルモン剤を服用しつづけなければなりません。
新生児の段階で異常を発見し、甲状腺ホルモン剤治療を開始していれば、その後の発育や成長には全く影響なく、運動や食事にも一切制限はありません。新生児段階での異常の発見が肝心です。
ヨード(ヨウ素)過剰摂取
ヨードは食品に含まれていますし、サプリメントにも含まれていますが、ヨードの過剰摂取が原因で甲状腺機能低下症を発症する場合があります。
甲状腺に異常がない方がヨードを過剰に摂取しても甲状腺機能低下ならないことから、もともと甲状腺になんらかの異常がある方においてのみ、ヨード過剰摂取が原因となり甲状腺機能低下症を発症するといわれています。
ここでいう甲状腺に異常がある方とは、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)の方、放射線ヨード治療や甲状腺手術後(大部分の甲状腺摘出によって)甲状腺が小さくなっている方をいいます。
また、イソジンのうがい薬で毎日うがいをしている方、根昆布療法(根昆布を漬け込んだ水を毎日飲む民間療法)を実践している方も、ヨード過剰摂取になりますので、甲状腺に異常のある方は、イソジンうがいと根昆布療法には注意が必要です。
医学的治療がきっかけとなる甲状腺機能低下症
医学的治療がきっかけとなる代表的なものは、バセドウ病患者の治療が原因の場合です。放射線ヨード治療や手術療法を受けたバセドウ病患者の約半数以上の方において、治療後に甲状腺機能低下症になることが確認されています。
このような場合は、甲状腺ホルモン剤を内服し、甲状腺機能を正常に維持することが求められます。バセドウ病手術において、甲状腺のすべてを摘出した場合は100%の確率で、また一部を残す手術の場合は10-30%の確率で、その後永続的な甲状腺機能低下症になります。
バセドウ病が原因とされる以外では、頭や首の悪性腫瘍やリンパ腫に放射線をあてる療法を受けた方、そして抗甲状腺剤を過剰に内服した方も、甲状腺機能低下症を発症します。
また、バセドウ病治療中の薬の減量タイミングが遅れた場合、無痛性甲状腺炎(一過性の甲状腺の炎症)がバセドウ病と間違えられて治療が行われた場合にも、甲状腺機能低下症を発症します。
まとめ
甲状腺機能低下症の4つの発症原因
甲状腺機能低下症の原因
原発性甲状腺機能低下症
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
ヨード(ヨウ素)過剰摂取
医学的治療がきっかけとなる甲状腺機能低下症