「膠原病の初期症状を見逃さず早期治療へ(前編)」では、膠原病とはどのような疾患であるのかご紹介いたしました。後編では、膠原病に対する治療方法についてご紹介いたします。
膠原病 は長期治療が必要となる疾患ですので、少しでも治療を長引かせないためにも 初期症状 を見逃さないことがもっとも重要です。
膠原病の初期症状を見逃さず早期治療へ(後編)
膠原病に含まれる病気と主な治療法とは?
膠原病を総称としている病気の中には厚生労働省において難病指定されているものがあります。難病指定された病気の診断を受けた場合、各都道府県の最寄りの保健所などにおいて医療費助成の申請ができる可能性があります。
指定難病であるかどうかと病状が一定程度であることを示す重症度分類などに照らし合わせて正式に認定された場合助成対象となります。
厚生科学審議会で出された意見をもとに厚生労働大臣が指定した難病の中で膠原病に含まれる病気とはベーチェット病、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、高安動脈炎、悪性関節リウマチ、多発血管炎性肉芽腫症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、成人スチル病、好酸球性多発血管炎性肉芽腫、巨細胞性動脈炎、原発性抗リン脂質抗体症候群です。(難病情報センターホームページ(2016年10月現在)から引用)
膠原病は臓器に炎症をきたす疾患のため血液検査をはじめ尿検査、レントゲン(胸部、手指)、超音波検査などで判定します。そして必要に応じて炎症部分の組織を採取する生体検査やMRI、血管造影検査、心電図などが実施される場合もあります。
各種検査により病名が確定したのちは主にステロイド剤や免疫抑制剤によって治療がおこなわれます。ステロイド剤は塗り薬タイプのものや内服薬以外に点滴や注射があり、疾患によって使用するタイプが異なります。膠原病ではステロイド治療が非常に有効です。
ステロイド剤は医師の指導を無視してむやみに長期間使用したり乱用することで副作用が重く出る場合もありますが、医師の指導通り使用することで治療に大きな力を発揮します。
また関節リウマチなどをはじめとする関節や筋肉の痛みがある疾患については投薬以外に痛みを緩和するために体を温める温熱療法をおこなう場合があります。
膠原病治療は長期治療となるものがほとんどです。少しでも治療を長引かせないためにも初期症状を見逃さないことがもっとも重要です。自身の体調の変化に対しては日頃よりしっかりと目を向けるよう心掛けましょう。
膠原病は女性の方が多い?!
膠原病は原因が特定されていないだけに断定しづらい部分はあるようですが、男性と比べ女性の方が膠原病患者数は非常に多いとされています。
筋肉障害を生じる多発性筋炎や皮膚筋炎の場合も40歳以上の女性がかかりやすく、粘液を出す組織に炎症が起こって目や口の中が乾燥するシェーグレン症候群も40歳代から60歳代の女性に多くみられるということです。
そのほかの膠原病においても女性の方がかかりやすいとされています。女性の膠原病患者が多いという要因として、現段階では女性ホルモンが関係しているのではないかと考えられています。
妊娠や出産に対しては何らかの原因で体内に異物が混入したと判断されてしまい膠原病を発病したり、再燃(治まった病状や症状が再び悪化すること)のきっかけになったりする実状があるようです。
また膠原病の一種とされる全身性エリテマトーデスは女性ホルモンを調整するピルの服用によって病気が悪化する可能性もあるため積極的な服用は避けるよういわれています。膠原病ははっきりとした原因が解明されていないために予防策はないといわれています。
しかしほかの病気同様に適度な運動を心がけ、バランスの良い食生活をして質の高い睡眠をとる生活をおくることであらゆる病原からの予防をしつつ膠原病も発病しにくい状態を保つことができると考えられています。
そしてもし膠原病の初期症状と思われる症状が出はじめた場合、迷わずできる限り早急に医師に診断を仰ぎましょう。
まとめ
膠原病の初期症状を見逃さず早期治療へ(後編)
膠原病に含まれる病気と主な治療法とは?
膠原病は女性の方が多い?!