膠原病 はあるひとつの病気をさすのではなく、全身の皮膚・筋肉・関節などに炎症のみられる病気の総称です。そのために、それぞれの病気によって 治療 にも違いが出てきます。
膠原病の治療法についてご紹介いたします。
膠原病全般の治療とそれぞれの膠原病の治療
膠原病の診断
原因不明の発熱や湿疹、関節痛などがみられた場合、膠原病の特徴的な所見の有無を全身にわたってチェックします。脱毛や口内炎、特徴的な湿疹などの他に、寒い朝に手足の先が白く変化してしびれるレイノー現象の有無などが主なチェックポイントとなります。
上述の診察によって膠原病が疑われる場合には血液検査が行われます。特に膠原病全体で重要視されているのは抗核抗体と呼ばれる検査です。また、それぞれの膠原病の診断としては、リウマチ因子・抗DNA抗体検査などの専門的な検査が行われます。
血液検査以外には、レントゲン検査も重要だと言われています。リウマチでは手、全身性エリテマトーデスでは胸部のレントゲン検査が必須です。
ご存知のように膠原病は全身の病気ですので、血液検査やレントゲン検査だけではなく、尿検査などさまざまな検査を経て確定診断が下されます。
膠原病全般の治療
膠原病の種類によって治療も変わってきますが、全般的にはステロイド治療と呼ばれている副腎皮質ステロイドホルモンを使用する治療が行われます。
症状によって投薬の量が決定されますが、通常、少し多めの量で治療を始め減薬していく方法がとられることが多いうようです。
ステロイド治療は非常に有効であることが多いのですが、副作用にも注意する必要があります。不眠・便秘・脱毛・ニキビなどの他にもムーンフェースと呼ばれる特に顔が丸くなる肥満などが副作用の代表的なものです。
また、長期に服用することで、高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病を併発したり、骨粗鬆症で骨がもろくなったり、抵抗力が低下するために感染症にかかりやすくなってしまうようなことも起こる可能性が出てきます。
昨今ではさまざまな種類の免疫抑制剤が使われるようになって、治療効果をあげています。ただし、ステロイドホルモンと同様に副作用には最大限の注意を払う必要があるために、投薬には専門医のきめ細かい指導が必要だと言われています。
それぞれの膠原病の治療
全身性エリテマトーデス
副腎皮質ステロイドホルモンがよく効きますが、腎臓・神経・肺などに合併症のある難治性になった場合にはステロイドを大量投与したり、免疫抑制剤の投与が必要になります。
ステロイドの投与で症状が安定していても風邪や紫外線の影響で悪化することがありますので注意が必要です。
関節リウマチ
治療は薬物・手術・リハビリの3本柱で行われます。薬は痛みに対して消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬が処方されることが多いようです。昨今では抗サイトカイン療法といって生物学的製剤が用いられることもあります。
薬物療法で痛みやはれが抑えられず、関節の変形が強くなった場合には手術が行われます。手術後のリハビリも非常に重要な意味をもってきます。
多発性筋炎・皮膚筋炎
副腎皮質ホルモンが有効です。再発することが多いことや高齢者に合併症が増えることが注意点です。
強皮症
副腎皮質ホルモンがある程度皮膚のむくみや硬さをやわらげます。内臓にも症状が及ぶため、食道や胃を保護する薬も処方されることがあります。
シェーグレン症候群
従来はうがいや眼薬で粘膜のかわきを和らげるのみでしたが、昨今、唾液の出をよくする飲み薬が認可されました。
ベーチェット病
副腎皮質ステロイドホルモンにより治療が行われます。ブドウ膜炎という眼の症状がなければ比較的症状の安定した病気だと言われていますが、神経や血管などに合併症がみられることもありますので油断できません。
混合性結合組織病
副腎皮質ステロイドホルモンが非常に有効です。ただし、肺高血圧症を合併した場合には大量のステロイド剤が必要となります。
血管炎
大量のステロイド剤が必要になることが多く、免疫抑制剤が必要になる場合もあります。症状が安定している場合にも肺や腎臓の合併症に留意する必要があります。
サイコイドーシス
経過観察になる場合もありますが、肺や心臓に所見がある場合には副腎皮質ステロイドホルモンが用いられることが多いようです。肺や心臓に合併症がみられない場合には自然治癒することもあると言います。
まとめ
膠原病全般の治療とそれぞれの膠原病の治療
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