高齢化社会、食の変化によるカルシウム摂取の低下により骨粗鬆症の患者さんは増加傾向にあります。また、骨粗鬆症がもとで骨折してしまい、その後寝たきりの生活となってしまうことがあります。 骨粗鬆症 の治療の基本は 薬 物治療です。
骨粗鬆症の早期発見早期治療により健康寿命を延ばしましょう。
骨粗鬆症治療薬を正しく使用し、健康寿命を延ばしましょう(前編)
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骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は骨の量が減り、骨の微細構造が劣化したために、骨が脆くなり骨折を起こしやすくなっている状態、あるいは骨折を起こしてしまった状態をいいます。骨粗鬆症は男女ともにみられる疾患ですが、女性の方が男性よりも約3倍多くみられます。
主な原因は閉経に伴うエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの急激な減少です。その他、加齢や関節リウマチや糖尿病などの特定の疾患、薬物などが原因となることもあります。骨密度の測定、血液・尿検査、MRIやCTなどの画像診断などによって検査を行い診断されます。
骨粗鬆症では大腿骨、腰椎、手首、肋骨などの骨折が多くみられます。骨折に伴う痛みや変形などはみられますが、骨の量が減っただけでは痛みはありません。
治療は、骨の量の減少を抑制する薬剤や骨を強くする薬剤を用いた薬物治療が基本となります。骨粗鬆症治療薬はビスホスホネート製剤、ビタミンD製剤、カルシウム製剤、ホルモン製剤、ビタミンK製剤などがあります。
ビスホスホネート製剤
骨粗鬆症治療薬の第一選択薬となっており、骨粗鬆症と診断されると多くの場合処方される薬剤です。この製剤は骨の量が減少するのを抑える効果があります。服薬の際には守るべき注意事項があります。
まず、起床時に普通の水で服薬します。そして、服薬後30分間は水以外の飲み物及び食べ物を口にすることはできません。これは、薬剤が様々な成分に結合しやすく、効果を十分に発揮することができないからです。
そのためミネラルを多く含む硬度なミネラルウォーターでの服用は避ける必要があります。
また、服薬後30分間は横になることもできないため、立位あるいは座位にて過ごします。これは、薬剤の成分が食道粘膜に付着し、留まってしまうと食道粘膜に傷が生じる可能性があるためです。
服薬する際は口腔内トラブルも解決しておく必要があります。骨粗鬆症と診断され、この製剤を開始することになった場合は、歯科治療を完了したのち服薬を開始します。
また、服薬中、口腔内の異常を感じたらすぐに歯科・口腔外科等を受診し、薬剤を服薬していることを告げ、治療を受けるようにしてください。
服薬時の上記の注意事項を守ることができ、きちんと服薬できれば非常に骨粗鬆症に対して有効な薬剤です。
また、毎日服薬する薬剤、週1回服薬する薬剤、4週間に1回服薬する薬剤、4週間に1回通院での点滴する薬剤などがあり、患者さんの生活スタイルや性格に合わせて選択することが可能です。
まとめ
骨粗鬆症治療薬を正しく使用し、健康寿命を延ばしましょう(前編)
骨粗鬆症とは
ビスホスホネート製剤