思春期の女子に多く見受けられる自律神経の病気である起立性調節障害ですが、子供時代に発症した方の4割は大人になってもなんらかの症状を抱えていると言われています。
大人 の 起立性調節障害 の原因や治療法についてご紹介いたします。
なぜおこる大人の起立性調節障害
大人の起立性調節障害の症状
大人になってからの起立性調節障害の症状は子供の症状とほとんど同じであると考えられています。
一番わかりやすく、最初に発症を自覚する症状は朝起きることができなくなるというものです。朝なかなか起きられず、起きても気分が悪くなってしまうという症状で発症を疑うことが多いものです。子供が学校に行くのがつらくなるのと同じように会社に行くのがつらいと感じるようになります。
他にも起立性調節障害という名が示すように、めまいやたちくらみ、頭痛や低血圧、イライラするとか寝付くことができないなどとさまざまな症状を訴える方があります。
大人になると交感神経が優位に立ちますので、30歳以降に起立性調節障害を発症することは稀であると考えられています。
ただし、子供時代に起立性調節障害を罹患した方の4割が成人後もなんらかの症状をかかえていると言われ、特に子供時代に重度の起立性調節障害であった方は大人になっても起立性低血圧の症状が残ると言われています。
大人の起立性調節障害の原因
大人の起立性調節障害の原因も子供と同様に自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまうことにあります。
ご存知のように自律神経はストレスによってバランスを崩すことが多いものですが、大人の起立性調節障害の発症にはこのストレスが大きな原因になっているようです。
ストレス社会と言われている現代はストレスと切り離して語ることはできません。女性の社会進出が進み、仕事と家庭の両立という新たなストレスも生じてきています。
子供時代に起立性調節障害であっても大人になって症状が軽くなっていく方も多いのですが、仕事上のつきあいや子育てなどによる夜更かしが再発のきっかけになってしまうことが非常に多いようです。
大人の起立性調節障害の治療
子供時代に起立性調節障害を罹患した方が再発を疑うような症状がある場合、心療内科か神経科を受診することが推奨されています。内科を受診することによって他の病気と混同されることを避けるためというのがその理由です。
起立性調節障害と似たような症状を示す疾患として甲状腺機能や副腎機能の低下、鉄欠乏性貧血、脳腫瘍などが考えられますので、血液検査と画像診断によりこれらの疾患の可能性を除外することから治療が始まります。
次に新起立試験という検査をします。これは仰向けになって血圧を測り、その10分後に起き上がって再び血圧を測ってその後血圧が元に戻るのに要する時間を測定するという検査です。
この検査によって起立性調節障害であるかないかだけでなく、症状のタイプや重症度もわかるとされています。
起立性調節障害であると診断されると非薬物治療として早寝早起きをできるだけ心がけ、生活のリズムを整えるようにすることを指導されます。また、一日に1.5~2リットルの水分と10~12グラムの塩分を摂取すること、急に立ち上がらないことなどに留意することも大切になってきます。
下半身に血液が滞留するとめまいや立ちくらみの原因になりますので、加圧式の腹部バンドや弾性ストッキングなどを装着するのもいいでしょう。
薬物治療としては塩酸ミドドリンなどの血圧を上げる薬、起立直後の低血圧を防ぐプロプラノロール、心臓を保護するメシル酸ジヒドロエルゴタミンなどが投薬されます。
社会生活を営む大人にとって規則正しく睡眠時間を確保することはなかなか難しいことですが、睡眠の乱れが発症の引き金となっていることは確実なことのようですので、生活のリズムを整えることが何より大切だという自覚が必要です。
また、自分なりのストレス解消法を工夫していくことも大切です。
まとめ
なぜ起こる大人の起立性調節障害
大人の起立性調節障害の症状
大人の起立性調節障害の原因
大人の起立性調節障害の治療