思春期の子供に多いとされている起立性調節障害ですが、子供時代に罹患した4割ほどの方が大人になっても症状を抱えていると言います。 起立性調節障害 はどのように 治療 するのがいいのでしょうか。非薬物治療の一環としてのセルフケアも含めてご紹介いたします。
非薬物治療から薬物治療へと進む起立性調節障害の治療
大人の起立性調節障害のつらさ
大人になってからの起立性調節障害の症状は子供時代と同じだと言われています。朝、起きることができず、体を起こすと気分が悪くなってしまい、時には吐き気に見舞われるようなことさえあります。子供が学校に行くのがつらいと感じるように大人は仕事に出かけることがつらく感じられます。
子供の頃、重度の起立性調節障害であった方は起立性低血圧症という症状として残る場合が多いようです。脳や全身に血液が行き届かなくなりますので、思考力や集中力が低下するだけでなく、疲れやすくなります。
大人の場合は仕事や家庭生活を送る上での責任がありますので、無理をしがちです。夜更かしが子供時代に罹患した起立性調節障害を再発させる原因になるとわかっていても、残業や仕事と子育ての両立など大人ならではの理由で睡眠時間を削らざるを得ない方は数多いことでしょう。
ストレス社会と言われている現代社会において、ストレスが起立性調節障害を悪化させる要因になっていることは明白です。しかし、大人のストレスの大半が仕事や家庭生活が原因であることから、ストレスを完全に排除することはなかなか難しいと考えられます。
起立性調節障害の非薬物治療
薬を使わずに、日常生活の中でちょっとしたことに注意しながら症状を改善していく非薬物治療のセルフケアにはさまざまなものがあります。起立性調節障害の治療は非薬物治療から薬物治療へと進んでいくのが一般的です。
立ち上がった時のめまいやふらつきは起立性調節障害と呼ばれるこの病気の特徴的な症状ですが、これを抑えるために急に立ち上がらないことを心がけます。できれば、立ち上がる前に30秒ほどその場足踏みをしてからゆっくりと立ち上がるようにするといいでしょう。
また、歩き始めは頭を前にかがめるようにすると楽でしょう。
起床と就寝の時刻を3日ごとに30分ずつ早める努力をするとずれてしまった自律神経の24時間周期を元に戻すのに有効です。
体調がよい午後はできるだけ活動を心がけるといいでしょう。ただし、過度な運動は逆効果です。夕方に軽く散歩する程度が適度だと考えられています。
立った姿勢で下半身に血流が滞ることを防ぐために着圧式のストッキングを着用するするのもいい工夫です。着圧式ストッキングはドラッグストアなどで容易に入手できるようになってきました。色々な種類のものが出回っていますので、薬剤師などに相談するといいでしょう。
1日に1.5~2リットルの水と10~12グラムの塩分を摂取することが推奨されています。
夜9時以降はテレビやパソコンやゲームなどの画面を見ることを控えて、交感神経の興奮を呼び起こさないようにするといいでしょう。
起立性調節障害の薬物治療
メトリジンやメトリジンD錠という名で処方されている塩酸ミドドリンは血管を収縮させる働きのある薬です。血管を収縮させて血圧を上昇させるので起立直後の低血圧症などに最初に処方されることが多いです。効果は非常に緩やかなので投薬後しばらくは様子をみなければなりません。
インデラルという名で処方されているプロプラノロールは高血圧や不整脈の治療のためにも使われることのある心拍数を減らして血管を収縮させる働きのある薬です。副作用としてまれに心不全や喘息発作を引き起こすことがあるとされているので、気管支喘息の方には使うことができません。
起立直後の低血圧がミドドリンで改善されない場合はジヒデルゴットなどという名で処方されているメシル酸ジヒドロエルゴタミンが使われます。血管を収縮させることによって立ち上がった時に血液が下半身に溜まらないようにする働きのある薬です。
リズミックなどという名で処方されているメチル硫酸アメニジウムは交感神経の働きを活性化して血圧を上げる薬です。起立直後低血圧症の方が塩酸ミドドリンで効果がない時に処方される薬です。
まとめ
非薬物治療から薬物治療へと進む起立性調節障害の治療
大人の起立性調節障害のつらさ
起立性調節障害の非薬物治療
起立性調節障害の薬物治療