普段の生活のなかで、 緊張 しているとき、ストレスを感じたときなど、なぜか 腹痛 がおこり、その不安からさらに症状が悪化してしまうという方がいます。
これは、ストレスなどの刺激により腸の機能に異常がおこる過敏性腸症候群症による症状の可能性があります。特に命に関わる病気ではなく、症状のわりに検査をしても異常がみつからないという特徴があります。
しかし、症状が続く場合は他の病気の可能性も考える必要があります。
緊張したときにあらわれる腹痛の原因とは(前編)
緊張と腹痛の関係
試験や面接の前など大事なことがあると、腹痛に襲われることがあります。そこにはストレスが関わっているのです。
私たちの身体は、緊張やストレスを感じるとその刺激が脳に伝わります。その刺激を脳から伝達された腸はセロトニンという神経伝達物質をつくり出します。
セロトニンは、ノルアドレナリン、アドレナリンと共に三大神経伝達物質と呼ばれており、ノルアドレナリンとアドレナリンの働きをコントロールすることにより、精神を安定させる作用があります。
そのため、セロトニンが不足してしまうと自律神経の乱れをおこし、不眠やうつ症状などを招くといわれ、幸福ホルモンという別名で呼ばれることもあります。
体内に分泌されているセロトニンの90%は腸でつくられています。普段はよい影響の多いセロトニンですが、緊張やストレスを受けた脳からの刺激を受けるとセロトニンを大量につくり出し、自律神経を興奮させることにより腸の蠕動運動に異常をおこします。
これが、腹痛のおこる原因であると考えられています。
ストレスからくる過敏性腸症候群とは
小腸から大腸の機能が何らかの原因により異常となり、腹痛、腹部不快感、便秘、下痢などの腸の症状が3ヶ月以上続いている場合、過敏性腸症候群という病気の可能性があります。
この過敏性腸症候群のはっきりとした原因はわかっていませんが、腸管の運動異常、知覚過敏、ストレスが影響していると考えられており、ストレスが加わることにより症状が悪化するといわれています。
他の疾患に伴う腹部症状とは異なり、緊張や不安などの心理的要因がストレスとなり、脳がそのストレスを感じると、便意を伴って下腹部にさすような痛みや鈍痛が続くという症状がみられ、排便により一時的に軽快するという特徴があります。
そして、突如おこる下痢便タイプ、排便困難になる便秘タイプ、下痢と便秘の両方の症状があるタイプの3つがあります。
これらに似た排便障害があらわれる他の疾患ではないこと、便の形状の変化や腹痛、腹部不快感などを伴う排便障害があること、その症状が3ヶ月以上続いているという一定の基準を満たしていると過敏性腸症候群と診断されます。
また、さまざまな症状に苦痛を感じているにも関わらず、検査では異常がないということも過敏性腸症候群の重要所見です。
まとめ
緊張したときにあらわれる腹痛の原因とは(前編)
緊張と腹痛の関係
ストレスからくる過敏性腸症候群とは