「緊張したときにあらわれる腹痛の原因とは(前編)」では、緊張と腹痛、ストレスの関係性についてご説明いたしました。後編では、 緊張 やストレスから 腹痛 をおこす過敏性腸症候群やその他の疾患についてご説明いたします。
あまりにも症状が続く場合や今までと違った症状があらわれた場合は、過敏性腸症候群ではない可能性もあります。
緊張したときにあらわれる腹痛の原因とは(後編)
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過敏性腸症候群との関わり
過敏性腸症候群の治療は、薬による対処療法、生活改善やメンタルケアが中心となりますが、まずは普段の生活の中から、過敏性腸症候群の症状に影響を与えている因子を取り除くことが大切です。
そして、腸の調子を整えるために良質な食物繊維を含みバランスのよい食事を心がけ、腸に刺激を与えるような刺激物、アルコールなどは控えるようにします。
このように睡眠や食生活などの生活を見直し、規則正しい生活を送ることは、脳や身体の感じるストレスを軽減することにつながります。
そこに加えて、腸の運動を調節したり、セロトニンの分泌を調節したり、腸の環境を整えるような薬を症状に合わせて使用し、改善を図ります。さらに、必要であれば抗不安薬や安定剤を併用していきます。
また、ストレスにうまく対応できるように、精神療法や認知行動療法などを取り入れる場合もあります。
しかし、過敏性腸症候群は直接命に関わるような病気ではないため、完全に症状があらわれない状態にするという治療よりも、自分の体質を理解しうまくコントロールしながら付き合っていくことが大切です。
腹部症状があらわれる病気
過敏性腸症候群の診断は、問診が大部分を占めており、特に検査をしなくても過敏性腸症候群と診断される方も少なくありません。
また、ストレス社会といわれる現代では、仕事をしている社会人が完全にストレスと関わらない生活を送ることは難しいため、なかなか症状が改善しない場合もあります。そのため、実は過敏性腸症候群ではなく他の病気であることを見逃してしまう恐れもあります。
たとえば、便秘や下痢を繰り返す病気には潰瘍性大腸炎があります。これは、腸の中で自己抗体ができてしまい、腸に炎症をおこすものです。悪化すると血便や体重減少、貧血があらわれますが、徐々に進行するタイプでは一見過敏性腸症候群と見分けがつかない場合もあります。
また、潰瘍性大腸炎に似た症状がみられるクローン病は、腸管内での過剰な免疫反応により症状があらわれ、発熱や関節痛、口内炎などの症状を伴う場合があります。
このように、過敏性腸症候群以外にも下痢や便秘を主訴とする病気はいくつかあり、治療法が異なるものもあります。
しかし、過敏性腸症候群以外の病気の場合、大腸内視鏡検査や造影剤を使用した検査などにより、腸管内の炎症などの異常がみられます。
そのため、あまりにも症状が続く場合や今までと違った症状があらわれた場合は、他の病気の可能性も考えて必要な検査を受けることをおすすめします。
まとめ
緊張したときにあらわれる腹痛の原因とは(後編)
過敏性腸症候群との関わり
腹部症状があらわれる病気