視野が狭くなったり眼が動かせなくなった場合、眼の病気だと思いませんか?急に母乳が出だした場合、乳腺の病気だと思いませんか?しかし、これらは全て下垂体腺腫で起こる症状です。
下垂体腺腫 の症状を知ることは病気の早期発見に役立ちます。
下垂体腺腫の症状を知って、病気を早期発見しよう
どちらも怖い下垂体腺腫
下垂体腺腫とは脳の下垂体という部分の細胞が増殖することによってできる良性腫瘍です。腫瘍には2種類あり、腫瘍がホルモンを分泌する機能性腺腫と、腫瘍がホルモンを分泌しない非機能性腺腫があります。
一見するとホルモンを分泌する腫瘍の方が悪い腫瘍のように思いますが、ホルモンを分泌する腫瘍は早期からホルモン過剰症状がでるため、腫瘍が小さい状態でみつかることが多いです。
一方、ホルモンを分泌しない腫瘍の方は、腫瘍が増大し、下垂体前葉機能低下症や局所症状が出現して初めて気づかれるため、ホルモンを分泌する腫瘍よりも大きくなってから発見されることが多いです。
腫瘍が大きくなるので下垂体卒中を起こすこともあり、突然の視力低下や頭痛などの症状を引き起こします。
これらの症状がみられたら下垂体腺腫を疑おう!
ホルモン分泌の有無に関わらず、下垂体腺腫はある程度の大きさになると腫瘍が周辺組織を圧迫することによって様々な症状を引き起こします。
1つ目の症状に、視野障害・視力低下があります。下垂体の近くには視神経や視交叉と呼ばれる左右の視神経の交叉する部分があります。
そのため、腫瘍が増大することで視神経や視交叉が圧迫されると、視野が欠損します。特に左右の耳側の視野が見えなくなっていたら下垂体腺腫を疑いましょう。
2つ目の症状に頭痛があります。下垂体の外側には鞍隔膜や硬膜と呼ばれる膜があり、大きくなった腫瘍がそれらを圧迫することで頭痛や鈍痛が起こります。痛みは頭の前の方や目の奥の方に感じやすいです。
3つ目の症状に眼筋麻痺が見られ、眼を動かせなくなります。下垂体の周囲には神経があり、動眼神経・滑車神経・外転神経などを腫瘍が圧迫すると目を動かすことができなくなります。目を上下左右、斜めに動かして確認してみましょう。
下垂体腺腫の診断はCT検査などで行いますが、健康な人は日常的にCTを撮ることはないと思います。ですので、これらの症状がみられた場合は下垂体腺腫を疑い、病院に行きましょう。
下垂体腺腫で母乳がでることも!?
ホルモンを分泌する下垂体腺腫の場合は、前述の症状以外にホルモン過剰による症状がみられます。下垂体腺腫は下垂体の前葉の組織が増大する疾患なので、ホルモン分泌腫瘍の場合は、下垂体前葉からでる成長ホルモンやプロラクチンなどが分泌されます。
頻度として一番多いのはプロラクチン産生腫瘍です。プロラクチンは乳腺の発育を促進し、母乳を産生する作用があります。通常の場合、妊娠していない女性はプロラクチンの産生は低値であり、妊娠時から出産時に向けて産生が亢進します。
プロラクチンの産生が亢進することで母乳がつくられ、赤ちゃんに母乳を飲ませることができるのです。ところが、下垂体腺腫によりプロラクチンが産生されると、妊娠していないのにも関わらず母乳がでることがあります。
下垂体腺腫からプロラクチンが分泌され、血中のプロラクチン濃度が高くなってしまうことで起こります。母乳がでるなどの症状が見られた際はすぐに病院に行きましょう。
また、下垂体腺腫は成長ホルモンを分泌することも多いです。成長ホルモンが分泌されると、眉弓が盛り上がり、鼻や口が大きくなり、顎が出てきます。
その他にも手足が大きくなり靴のサイズが合わなくなることもあります。また、成長ホルモンには抗インスリン作用があるので、高血糖や糖尿病になることもあります。健診で血糖値が上がっていたり、久しぶりに会う人に顔が変わったといわれるような場合も、すぐに病院に行きましょう。
最後に
下垂体腺腫は様々な症状を引き起こすので、自分で症状に気づいてから病院にかかる人も多い病気です。脳の手術というと頭蓋骨を削る大掛かりなイメージがありますが、最近では経鼻的に手術をすることもでき、術後の回復も早くなっています。
そして、全ての病気に当てはまることですが、早期発見するほど治療はしやすくなります。下垂体腺腫の症状に当てはまると思った際は、ぜひ病院へ行きましょう。
まとめ
下垂体腺腫の症状を知って、病気を早期発見しよう
どちらも怖い下垂体腺腫
これらの症状がみられたら下垂体腺腫を疑おう!
下垂体腺腫で母乳がでることも!?
最後に