関節リウマチは患者数の多い病気ですが、いまだに誤解の多い病気でもあります。 関節リウマチ の決定的な 原因 はいまだに不明なものの、近年では早期発見が可能になり、効果の高い薬の開発や治療法も進化しました。
そのことによってかつては「治らない病気」だった関節リウマチも寛解状態を維持できるようになりました。
関節リウマチの原因と発症プロセス
関節リウマチの原因
関節リウマチの原因について、いまだに決定的な解明はされていません。ですが、研究が進むにつれ少しずつ分かってきていることがあります。それは、人間の体が本来持っている免疫機能の異常から引き起こされるのではないかということです。
異常な免疫反応がベースになっている
免疫とは自分の体を守るために備わっている体内システムです。このシステムがあるおかげで私たちは細菌やウイルス等の外敵(「抗原」といいます)が侵入してきても病気や感染症にならずに済むのです。
正常な免疫反応の仕組みとは、抗原が体内に侵入すると白血球が「抗体」を作り出します。「抗体」は「抗原」を攻撃し、排除する物質です。白血球が生み出した抗体は、自分の体にとって異物であるかどうかを見極めて異物であると判断した場合は異物(抗原)だけを排除する働きをします。
ところが、異常な免疫反応では何らかの原因で異物の見極めの際の異常が起こってしまい、自分の体を形作っている細胞や成分を異物とみなして攻撃を加えてしまいます。その結果さまざまな病気が起こるようになります。
異常な免疫反応を引き起こすリスク因子
免疫機能の誤作動を引き起こすと考えられているリスク因子がいくつかあります。どれか一つが原因となるわけではなく、いくつかのリスク因子が複雑に絡み合って発病すると考えられています。リスク因子として考えられているものとして、遺伝やウイルス感染、女性ホルモン、薬物や化学物質、ストレスがあります。
関節リウマチは遺伝病ではないものの、遺伝がまったく無関係かというと必ずしもそうではありません。病気になりやすい体質や素因を受け継ぐことがあります。しかし、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の場合であっても一方が関節リウマチになったとしても、もう一方が発病する確率は約24%程度と言われており、遺伝だけが関係しているともいえません。
薬物や化学物質は体内で体の成分と結合してその結果自己免疫反応が起きてしまうことがあります。また、精神的なストレスだけでなく、外科手術や外傷、妊娠や出産といった身体的ストレスが自己免疫反応のリスク因子になることがあります。
さらに、ある種のウイルスに感染することをきっかけに抗体をつくるリンパ球の活動が活発になると考えられていたり、女性ホルモンが自己抗体の働きや免疫反応を促す物質(サイトカイン)を活性させやすいと考えられており、これらもリスク因子となりえます。
関節リウマチの自己免疫反応は「滑膜」で起こる
関節リウマチは、関節の内側を覆う「滑膜」で発症します。滑膜が炎症を起こすことを滑膜炎といいますが、この滑膜炎が関節リウマチの痛みや変形のもとになります。
炎症というのは免疫システムの防御作用で、本来は体内で発生した異常を修復するためのものなのですが、関節リウマチの場合は自分を攻撃してしまう自己免疫反応がこの滑膜で起こります。
関節リウマチ発症のプロセス
関節リウマチの発症プロセスは、ウイルス感染等の刺激をきっかけにして自己反応性のリンパ球が滑膜へ流れ着くことから始まります。自己反応性リンパ球は滑膜のたんぱく質を抗原とした抗体を生み出して複合体をつくりますが、この抗原・抗体複合体が免疫細胞の標的となります。
滑膜にT細胞を中心とするリンパ球やマクロファージ等の免疫細胞が入り込み「炎症性メディエーター」とよばれるサイトカイン等の物質を大量に作り出します。このような活動によって傷つき炎症を起こした滑膜からは大量の関節液が分泌され、関節全体の腫れや痛みをおこします。
症状がすすむと軟骨の破壊が始まり、炎症細胞やサイトカイン等の有害物質は関節の骨やじん帯、筋肉へと広がり、さらに血液を経由して全身の様々な場所で障害を引き起こすようになります。関節リウマチは大まかに以上のようなプロセスをたどります。
まとめ
関節リウマチの原因と発症プロセス
関節リウマチの原因
異常な免疫反応がベースになっている
異常な免疫反応を引き起こすリスク因子
関節リウマチの自己免疫反応は「滑膜」で起こる
関節リウマチ発症のプロセス