関節リウマチ 患者は日本で約60~70万人いるといわれており、30~50代の女性に多く発症します。
最近なんとなく関節がこわばった感じがする方、手足がいつも冷えていて動かすと痛みがある方、荷物を持つとき、お箸を握るとき、ハブラシを使おうと思っても痛くて握れない方、我慢してはいけません。関節リウマチを放っておくと骨が破壊されて寝たきりになってしまうかもしれません。
早期治療で進行抑制!寝たきりにならないための関節リウマチの知識
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原因
原因は免疫異常です。免疫は、アレルギーやウィルスそして細菌から私達を守る役割をしていますが、免疫異常の場合、なんらかの原因で免疫が乱れます。免疫異常の例は、アレルギーへの過剰反応、自分の体の中の組織や成分そのものを異物とみなして攻撃する自己免疫疾患などですが、関節リウマチもその例のひとつです。
関節リウマチでは、ウィルスなどの感染をきっかけに免疫系(リンパ球)が自分自身の組織を異物とみなし攻撃するという免疫異常が生じています。患者の関節の髄膜からは、サイトカイン(細胞から分泌されるタンパクの一種)が異常に分泌されており、このサイトカインによって炎症が関節全体に広がり、腫れや痛みが症状として現れ、最終的に軟骨や骨が破壊され、関節が変形してゆきます。
診断基準
関節の痛みと炎症だけでは関節リウマチではありません。医療機関では、関節リウマチかどうか判断するための診断基準として、米国リウマチ学会(ACR)の分類基準リスト(1987年)を使用しています。以下7項目のうち4項目に該当すると関節リウマチと診断されます。
- 朝のこわばりが1時間以上(6週間以上継続)
- 身体の3箇所以上の関節の腫れ(6週間以上継続)
- 手の指の第2関節あるいは第3関節、手首の炎症のいづれかの腫れ(6週間以上継続)
- 左右対称の関節の腫れ(6週間以上継続)
- 皮下結節、リウマトイド結節(肘の外側の皮下に米粒ほどの大きさのしこり)
- 血液検査のリウマトイド因子が陽性
- レントゲン検査での手の関節の異常
症状と経過
まず手足の指の関節に左右対称の「痛み、腫れ、こわばり」が出ます。その後、以下3つの特徴的な経過のどれかひとつが現れます。
経過1 : 症状が出て短期間のうちに更に症状が強くなり関節が変形(約1割該当)
経過2 : 1~2年間でなんとなく治ったような寛解(かんかい)状態(症状が一時的に軽減し、見かけ上症状が消滅した状態)(約3割該当)
経過3 : 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら次第に関節が変形(約6割該当)
関節リウマチの治療方法
薬物療法、生活指導、リハビリ、手術が必要に応じて実施されてます。
薬物療法 : 薬の種類は様々ですので患者ごとに処方されます。免疫異常に対して効果的とされている抗リウマチ薬を初期段階で使用し炎症や関節破壊を抑制する方法がとられています。また、炎症、腫れ、痛みを抑えるために非ステロイド性抗炎症薬やステロイドが使用されます。
生活指導 : 関節リウマチは大変痛みがひどく、日常生活もままならないほどです。関節を保護し、負担がかかならない生活が理想です。そこで、適切な安静と適度な運動の組み合わせ(リウマチ体操など)、関節の保湿(関節を冷やさない、衣類、入浴、器具などを使用)、負担がかかならい動作(長時間同じ動作を続けず、荷物やバッグを持つときは手ではなく肩を使い、ワゴンやキャリーバッグなどを積極的に利用、握る伸ばすといった動作などについても指導)、バランスのとれた食事などが指導されます。
リハビリ : 関節が痛むからと関節を動かさないでいると、関節、筋肉、腱の機能が低下するため、症状が出始めた初期段階でリハビリをすることが推奨されています。しかし、無理をすると炎症が悪化するため医師の指示を受けて進めなければなりません。
手術 : 完全に変形してしまった場合は、手術を受けます。手術には、髄膜を切除する方法、関節を切除し人口関節と換える方法、関節を固定する方法があります。
日常生活でも支障がでるほど痛みや炎症が継続する場合は、無理や我慢をせず医師(リウマチ科、整形外科、内科)を受診してください。関節リウマチの進行と悪化は、早期診断、早期治療によって大きく左右されます。
まとめ
早期治療で進行抑制!寝たきりにならないための関節リウマチの知識
原因
診断基準
症状と経過
関節リウマチの治療方法