1年中、 花粉症 の症状がある方もいれば一時期のみの方もいるように、アレルギー反応を起こす植物によって症状の出る時期が違います。
どの植物に対してアレルギーを持っているのかを知り、その植物の花粉が飛散する 時期 を把握することで、予め花粉症対策を行うことができます。
花粉症の飛散する時期に合わせた治療
地域と気温による花粉の飛散
花粉は植物にとって繁殖するために必要なものです。そのため、その植物が育ちやすい気温などの環境が整うと成熟し、遠い場所にまで花粉を飛散します。
同じ日本国内でも、地域によって気温は違うため、花粉の飛散する時期にも少しずつずれがあります。
気温の低い冬から春にかけては木本の花粉が多く、暖かくなる春以降は草本の花粉が多く飛散します。基本的には北から南に向かって南下して行くため、ニュースや天気予報を確認することで花粉の飛散を予測することができます。
時期ごとに飛散する花粉
1年を通して長い間飛散しているのがスギとイネ科の花粉です。比較的多く飛散する時期と、量が減る時期がありますが、アレルギー反応が強い方にとっては年中苦しむ原因になります。
それ以外の植物では、ハンノキ属、ヒノキ科が1月~6月、シラカンバ属が寒い地域のみ4月~6月、ブタクサ属、ヨモギ属、アサ科が7月~長くて12月頃まで飛散します。
シラカンバ属のように寒い地域に多い植物、また温かい地域に多い植物など地域によって花粉の量などが異なるため、アレルギー症状の程度にも違いがあります。
そのため、旅行などで離れた土地に訪問する際は、その地域に合わせた花粉症対策を行うことが必要になります。
飛散のタイミングと症状に合わせた薬物療法
花粉症の主症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。これらの症状の中で、どの症状があるのかによって使用する薬剤が決まります。くしゃみ、鼻水の症状がある方は抗ヒスタミン薬を使用します。飲み薬のほかスプレーなどの点鼻薬があります。
鼻づまりに対しては抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、プロスタグランディンD2などの薬剤や鼻の血管を収縮させてつまりを解消する点鼻タイプの血管収縮薬を使用します。
それぞれの症状ではなく、すべての症状があてはまる方は、これらの薬を組み合わせて使用したり、作用の強いサイトカイン阻害薬や経口、噴霧タイプのステロイド薬などを使用して総合的に症状を抑えます。
このような薬物療法をアレルゲンとなる花粉が飛散する前、または症状の軽いうちに開始する初期治療を行うことで、症状の出現を遅らせたり、軽くすることができます。
初期治療として最も効果を発揮するのは、花粉が飛散する2週間前から治療を始めることだといわれているため、花粉の飛散情報をこまめにチェックしておくようにしましょう。
毎日内服する煩わしさを解消する
スギやイネ科の花粉にアレルギー反応がある方は、年中何らかの症状に悩まされることになり、そのために薬を毎日、1年中飲み続けなくてはならない場合もあります。
そのような方にとって、毎日内服する煩わしさを解消する薬物療法以外の手術療法、減感療法、舌下免疫療法というものがあります。
手術療法は鼻の粘膜を一部除去したり、レーザーを照射して、アレルギーを生じる部位を減らす治療法です。しかし、鼻の粘膜は再生するためいずれは再発する可能性もあります。
減感療法は、薄い濃度にしたアレルギーの原因となる物質を少しづつ注射することにより、抵抗力をつける治療法です。抵抗力が付き、安定してくると月1回ほどの注射で症状を落ち着かせることができますが、注射を止めてしまうとまた元に戻ってしまいます。
舌下免疫療法は減感療法に似ており、シダトレンという薬剤を舌下に垂らし、抵抗力をつけていく治療法です。シダトレンはスギ花粉の成分を濃縮したものであり減感療法のように痛みを伴わないため、受けやすい治療法ですが、対象となるアレルゲンはスギ花粉のみになります。
まとめ
花粉症の飛散する時期に合わせた治療
地域と気温による花粉の飛散
時期ごとに飛散する花粉
飛散のタイミングと症状に合わせた薬物療法
毎日内服する煩わしさを解消する