「女性ホルモンを補う注射がもたらす効果(前編)」では、女性ホルモンという物資がどのような役割を果たしているのか、また女性の体内環境を整えるための薬物療法についてご紹介いたしました。
後編では、 女性ホルモン の補充としておこなわれるエストロゲン 注射 やプロゲステロン注射の副作用についてご説明いたします。
女性ホルモンを補う注射がもたらす効果(後編)
- 目次 -
気になる注射の副作用
エストロゲンの注射は、吐き気、めまい、倦怠感、むくみ、体重の増加、発疹などの症状があらわれる可能性があります。しかし、内服による治療では、肝臓での代謝を受けるため肝機能の異常がおこる心配がありますが、注射は肝臓の代謝を受けないためそのような心配は軽減されます。
また、エストロゲンが原因と考えられている乳がんの発生を高める可能性もあると考えられています。
エストロゲンが乳がんのがん細胞の増殖を促すと考えられているため、乳がんの既往がある方は乳がんのリスクよりも、症状の軽減が必要と判断される場合を除いて、エストロゲンの注射を受けることはあまり勧められないでしょう。
プロゲステロンの注射は、吐き気、頭痛、むくみ、倦怠感、眠気などの症状があらわれる可能性があります。
黄体機能不全が原因の不妊治療の場合、プロゲステロンの分泌量が基準の値になるまで、または妊娠が確認できてプロゲステロンの分泌が高まる8週目頃か妊娠の継続ができるほど安定してくるまで摂取し続ける必要があります。
しかし、プロゲステロンの分泌を促すHCG注射よりも、比較的副作用はあらわれにくいといわれており、万が一副作用があらわれた場合も2~3ヶ月ほどでほとんどが改善されます。
心と身体を一致させるために
最近では、有名人の方が性同一性障害であることを告白することも多くなってきました。しかし、実際にはもっと以前から自分の外見の性と心の性の不一致に悩む方がたくさんいました。
そのような方にとって、救いともいえる治療が女性ホルモンの治療です。身体が男性であるため、筋肉質になったりヒゲなどの体毛が目立ったり、骨格や低い声質など男性らしさがみえてしまいます。
しかし、女性らしさをつくるための女性ホルモンを接種することにより、適度な脂肪がついたふくよかな胸や身体、きれいな肌、つやのある髪となり、心の性により近づくことができるのです。
女性ホルモンの注射があることにより、性同一性障害の方はやっと心と身体が一致して前向きになれることもあるのです。
このように、女性ホルモンの注射は病気の治療に限らず、さまざまな女性の悩みを解決するとても心強い治療のひとつなのです。
まとめ
女性ホルモンを補う注射がもたらす効果(後編)
気になる注射の副作用
心と身体を一致させるために