乳がんは40歳~50歳で罹患する割合が最も高いとされていますが、若い世代での罹患例も少なからずあるのが現状です。一般的に35歳未満で発症した乳がんを若年性乳がんと呼びます。一般的な乳がんとの違いはどのようなものか、お話したいと思います。今回は、 若年性乳がん の特徴や 症状 についてご紹介します。
若年性乳がんの症状
若年性乳がんの特徴
乳がん検診は日本では一般的に40歳以上から推奨とされており、各自治体からの乳がん検診クーポンが配布されるのも40歳以上です。この事から35歳未満の若い世代が乳がんの検診を受ける機会は少なく、マンモグラフィーなどで早期発見をする事が難しいとされています。
そのため、若年性乳がんは自分でしこりを見つけて医療機関に駆け込むケースが多く、ある程度しこりが大きくなった状態、つまりステージが高い状態になってから見つかる比率が高いのが特徴です。
若年性乳がん患者は乳がん全体の3%弱と言われていますが、そのうちステージ2以上の割合が約6割ほどで、35歳以上の乳がんではステージ2以上は2割程度にすぎず圧倒的にステージ1が多い事実と比較すると顕著な特徴と言えます。
ライフイベントと重なりやすい若年性乳がん
35才未満という年齢は結婚、妊娠、出産など女性としての大きなライフイベントが訪れる時期と重なります。また働く女性にとっては仕事も忙しくなる時期でもあり、なかなか体調の管理に意識が向きにくい時期でもある事も、早期発見を阻む要因ではないかと考えられます。
出産後の授乳期は乳房の状態が通常とは異なり、乳腺が発達したり母乳が詰まったり、様々な要因でしこりのようなものを触れる事が多いので、この時期にがんができても悪性のものだとは思わず放置してしまう事も多いようです。
子育て中の女性も、まず子供の健康を考え自分の健康は二の次という考え方をしている事が少なくありません。しこりを自覚しても乳がんは中年以降になるもの、という先入観から検診を受けない例も見受けられます。
家族の健康を守るためには、まず自身の健康を保つことが必須という意識を持つことが大切です。
妊娠・出産と乳がん治療
もしも運悪く妊娠と乳がんが同時期に起こったら、多くの方は治療か出産かどちらか一方を選択しなければならないと思うかもしれません。ですが、今は妊娠を継続しながら抗がん剤治療を受ける事ができるようになりました。
抗がん剤の曝露による胎児への影響が殆どないことが臨床データで確認されるようになり、治療と妊娠出産を両立させる事が可能であるという認識が広がりつつあります。
病気の告知と妊娠や出産という女性にとって重要な出来事が一度に訪れることで、精神的に大きなショックを受ける事にはなりますが、このような治療の存在を知っておくことで次の一歩を踏み出す力に繋がる事があるかもしれません。
この治療を行っている医療機関はまだ多くはありませんが、希望を捨てる前に可能性の一つとして検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
QOL(quality of life=生活の質)を高く保つ必要性
若年性乳がん患者は人生の早い段階でがんに罹患するため、必然的に病後に過ごす時間が長くなります。そのため、少しでもQOLを高く保てるかどうかがその後の人生の質を左右する鍵となります。
健康寿命をできるだけ長く保つことが一番ですが、再発や転移をしてしまった場合も、QOLをなるべく落とさないよう、主治医とよく相談し、個人個人の生活スタイルやがんのタイプに合う治療法を総合的に判断し選択していくことも大切です。
若年性乳がんは進行が早いのか
一般的に若い人のがんは進行が早い、と考えられる傾向にありますが、乳がんの場合は若いから早いという事はありません。がんの性質別にサブタイプと呼ばれる分類に基づいてタイプ分けされており、それぞれのタイプで治療内容が異なります。
そのなかで顔つきが悪く悪性度の高いタイプのがんと診断されれば進行が早いと考えられるので、抗がん剤の治療を受ける事が推奨されますし、おとなしいタイプと判明すれば手術やホルモン剤の内服のみで済む場合もあります。
若年性乳がんだから進行が早いという事ではありませんので、やみくもに恐ることなく適切な治療をきちんと受ける事が大切です。
まとめ
若年性乳がんの症状と特徴
若年性乳がんの特徴
ライフイベントと重なりやすい若年性乳がん
妊娠・出産と乳がん治療
QOL(quality of life=生活の質)を高く保つ必要性
若年性乳がんは進行が早いのか