一般的に乳がんは30代の半ば頃から罹患率が上昇して40~60代が乳がん患者の80パーセントを占めると言われていますが、中には若年性乳がんと言って35歳未満で発症してしまう方があります。
若年性乳がん にはどのような特徴があるのでしょうか。
早期発見で予後が違ってくる若年性乳がん
若年性乳がんの特徴
34歳以下で乳がんを発症した方はそれ以外の年代で発症した方に比べて乳がんの既往歴のある親族がいる割合が高く、先天的な要因が大きいことがうかがわれます。
若年性乳がんは片方の胸にだけ発症することが多いようです。
BMIの数値が高くない方が多く、食事や運動などと若年性乳がんの発症に関係がないのではと考えられています。
自治体の検診などが40代以上の女性を対象にしていることから、自分でしこりに気づいて受診するケースが多く、それだけに発見時に腫瘍が平均2.9センチになっていてそれ以外の年代に比べると大きくなってしまっています。
生存率を比較した場合、若年性乳がんの方は進行が速く、再発率も高いことからそれ以外の年代の方より予後が良くないことが多いです。
若年性乳がんではHER2(ハーツー)陽性と言って細胞の増殖にかかわるたんぱく質が陽性でリンパ節転移がある場合に再発の可能性が高いと言われています。
また、トリプルネガティブと言ってER(エストロゲン受容体)、PgR(プロゲステロン受容体)、HER2(ハーツー)のいずれも陰性である場合には治療法の選択肢が非常に限られてしまい予後が悪くなります。
若年性乳がんの原因
現在のところ若年性乳がんの原因が完全に解明できたという段階ではありませんが、遺伝的な体質と食生活の欧米化は大きな原因であろうと言われています。
生得的にBRCA1またはBRCA2という遺伝子に何らかの変異のある女性は乳がんや卵巣がんにリスクが高くなると言われていますが、若年性乳がんの方にはこの体質が多いことが報告されています。
乳がんはその発症年齢にかかわらず、患者数が増えてきています。その原因として高脂肪・高カロリー食の摂取が指摘されています。
若年性乳がんは他の年代で発症される方のように肥満が原因のひとつというとらえ方はされていませんが、遺伝的な体質に日々の食生活でのリスクを加えるということを防ぐ意味で注意が必要です。
若年性乳がんを早期発見するために
発症の増える35歳以上の女性に推奨されている乳がん検診ではありますが、親族に乳がんや卵巣がんの方がある場合は検診の時期を早めるというのが賢明です。その際、マンモグラフィとエコーの検査を合わせて受けるとより精度が高くなるでしょう。
遺伝的な体質が心配であれば、遺伝子カウンセリングを受けて検査をすることもできます。
乳がんは数少ない触って見つけることのできるがんです。月経後の胸が柔らかい時期に定期的に自己チェックを怠らないようにしましょう。
若年性乳がんと妊娠・授乳
2011年の乳癌学会で若年性乳がんもその他の年代で発症する乳がん同様に早期発見が大切であることが発表されています。
若年性乳がんではリンパ節転移数が少ないほど、病期ステージが低いほど予後が良いという研究結果から、早期発見が予後を改善することとそのためにより若い人に検診の重要性を啓発していくことの大切さが提言されています。
この研究発表で1975~2000年の146690例のデータを解析した結果、妊娠期の乳がんは全体の0.52パーセントで妊娠の合併はそれほど予後を悪くしないことが報告されています。
一方、授乳期の乳がんの予後は有意に不良と報告されていることから妊娠前の乳がん発見が大切だとされています。
昨今、高齢出産が増えてきていますので、授乳期が若年性のみならず乳がんの好発年齢と重なってくることが懸念されます。そのようなことも心に留めておくといいのではないでしょうか。
まとめ
早期発見で予後が違ってくる若年性乳がん
若年性乳がんの特徴
若年性乳がんの原因
若年性乳がんを早期発見するために
若年性乳がんと妊娠・授乳