「若くても!!若年性認知症チェックで早期発見・早期治療!(前編)」では、日本における若年性認知症の発症状況をご説明いたしました。後編では、若年性認知症が考えられる原因や 若年性認知症 の チェック テストについてお伝えします。
女性が若年性認知症を発症した場合、更年期障害だと思われがちですので注意してください。
若くても!!若年性認知症チェックで早期発見・早期治療!(後編)
若年性認知症が考えられる原因とは?
一般的に認知症といわれる病は高齢になってから発症することが知られています。しかし若年性認知症は65歳未満で発症し、原因としてさまざまな基礎疾患があげられます。
若年性認知症の原因となる基礎疾患は(1)脳血管性認知症(39.8%)、(2)アルツハイマー病(25.4%)、(3)頭部外傷後遺症(7.7%)、(4)前頭側頭葉変性症(3.7%)、(5)アルコール性認知症(3.5%)、(6)レビー小体型認知症(3.0%)とされています。
(1)脳血管性認知症は脳出血や脳梗塞、くも膜下出血によって発症する可能性の高い認知症です。
(2)アルツハイマー病はβアミロイドというたんぱく質が脳に溜まることで脳の働きを低下させて脳萎縮していく病です。著しい症状としては記憶障害であり、その後体の機能も低下して寝たきりになってしまう人もいます。
(3)頭部外傷後遺症は傷を受けた場所によってことなる後遺症の可能性があります。損傷部位によって運動麻痺や感覚障害が発症して、損傷の深さによって意識障害が後遺症として出る場合もあります。
(4)前頭側頭葉変性症とは、感情のコントロールや聴覚、味覚などの働きをつかさどる大脳の前頭葉と側頭葉が委縮する脳疾患です。症状としては常に同じ時間に同じ行動を繰り返すといったことです。
(5)アルコール性認知症はアルコールの多量摂取によって発症する認知症です。無気力状態となり、正常な歩行もできなくなったり暴力的にもなります。認知症は高齢者のなるものとして理解していると軽度の若年性認知症の症状が出ていても見落としてしまう可能性があります。
以上の基礎疾患がある場合は、今後若年性認知症に発展する可能性が高いものとしてチェックするための大きな目安になります。
若年性認知症のチェックテストとは?
日本国内で最も使われている「改定長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれる認知症チェックテストは次のとおりです。30点満点で20点以下が認知症の疑いがあります。
(1)年齢は?2歳差までは正解で1点。(2)今日は何年何月何日何曜日?年、月、日、曜日でそれぞれ1点。全部正解であれば4点。(3)私たちが今いるところはどこですか?自らすぐに言えれば2点。質問者の選択肢の中から選べば1点。
(4)これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。①:A)桜B)猫C)電車/②:A)梅B)犬C)自動車①もしくは②でテストをします。1つ合っていれば1点、2つ合っていれば2点、3つ合っていれば3点です。
(5)100から7を引いた数は?が正解であれば1点。正解の場合だけ、さらにそこからまた7を引いたら?と質問します。これも正解であれば1点追加。(6)私がこれからいう数字を逆から言ってください。「6、8、2」と「3、5、2、9」を逆から読ませて正解すればそれぞれ1点です。
(7)先ほど覚えた(4)の言葉をもう一度言ってみてください。例えば「桜、猫、電車」のうち1つ言えた場合は2点、2つ言えた場合は4点、3つ言えた場合は6点です。わからなかった場合は質問者がヒントとして「それは植物、動物、乗り物です」と出してあげて正解すれば1個正解ごとに1点です。
(8)これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。例えば「消しゴム、歯ブラシ、タバコ、携帯電話、お札」など、それぞれ互いに無関係なものをその品物の名前を言いながら見せます。そのあとに品物をすべて隠してその名前を答えてもらいます。1つ正解ごとに1点です。
(9)知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。0から5種類は0点、6種類は1点、7種類は2点、8種類は3点、9種類は4点、10種類は5点です。以上が認知症チェックテストとなります。11点から19点で中度の認知症、10点以下で高度の認知症と判断されます。
なおこれはあくまでも認知症の疑いがあった場合簡易的に行うものです。レビー小体型認知症などの場合は上記テストで高得点が出やすいなど特殊な場合も考えられますので、自己判断だけで決めないようにしましょう。
また若年性認知症対象年齢の人は会社勤めしている人が多いため「毎日のルーチンワーク自体を忘れてしまう」や「なぜ会議に出席しているかを思い出せない」などの症状が出て会社生活にかなりの支障をきたして収入減にも大きく影響してきてしまいます。
若年性認知症は早期に発見できれば原因となる疾患により投薬や生活改善などにより進行を遅らせることが可能な場合もあります。友人や家族によって少しでも疑わしい症状が発見された場合はできる限り早めに専門医に診てもらうようにしましょう。
まとめ
若くても!!若年性認知症チェックで早期発見・早期治療!(後編)
若年性認知症が考えられる原因とは?
若年性認知症のチェックテストとは?