ヘモグロビンとは赤血球の大部分を占めている血色素のことですが、その量を測定することで女性に多い鉄欠乏性貧血などの種類や性質を調べることができると言われています。
女性に関心の高い ヘモグロビン の 正常値 についてご紹介いたします。
貧血だけではない気になるヘモグロビンの正常値
ヘモグロビンとは
血液の中には赤血球と呼ばれる赤い血球があります。この赤血球は全身の細胞に酸素を運ぶ働きをしています。その際、必要不可欠なのが、赤血球の中のヘモグロビンというたんぱく質です。
ヘモグロビンはヘムと呼ばれる分子とグロビンと呼ばれるポリペプチドから構成されたユニットが4つ結合した複合タンパク質です。
ヘムの中心部分には鉄があって、鉄は酸素1分子と結合することができるので、1つのヘモグロビンは4つの酸素分子を運ぶことができるわけです。
ヘモグロビンの鉄と酸素が結びつくと酸化鉄になるために、赤血球が赤く見えるようになります。
人間は鉄を含むヘモグロビンの働きによって空気中から体内に酸素を取り入れることができます。
また、ヘモグロビンは酸素だけではなく、二酸化炭素とも結びつくことができます。動脈血が鮮赤色なのに対して静脈血が赤黒いのは、静脈血には二酸化炭素を多く含んでいるからなのです。
ヘモグロビン量でわかること
ヘモグロビンが不足すると全身で酸素不足が起こるため貧血状態になります。足りない酸素を補おうとするために血液の循環が速くなってしまうので動悸がしたリ、呼吸数も多くなるので息切れがしたりという症状がでます。
貧血には「小球性低色素性貧血」といって、赤血球の数が減少すると1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの数も減少する貧血と、「正球性正色素性貧血」といって、1個の赤血球の中に含まれるヘモグロビンの量は同じで赤血球の数が減少する貧血があります。
赤血球とヘモグロビン量を比較するとどちらのタイプの貧血であるかという判別ができます。
ヘモグロビンの正常値
ヘモグロビンの正常値は男性で13.0~16.6g/dl、女性で11.4~14.6g/dlとされています。妊婦や高齢者は低く、子供は15歳くらいで大人と同じになると言われています。
貧血を正確に判定するためには、ヘモグロビン量・赤血球数・ヘマトクリットの値を公式にあてはめて赤血球恒数(赤血球指数)を算出する必要があります。赤血球恒数は貧血の種類だけでなく、原因や性質まで区別することができる非常に有効な指数です。
赤血球恒数には各赤血球の占める容積の平均値をあらわす平均赤血球容積(MCV)と各赤血球に含まれるヘモグロビン量の平均値をあらわす平均赤血球色素量(MCH)、一定量の血液の赤血球容積に対するヘモグロビン量の割合をパーセンテージであらわす平均赤血球色素濃度(MCGC)があります。
MCVの正常値は81~100fl、MCHの正常値は27~32pg、MCGCの正常値は31~36%とされています。
MCVとMCHCが基準値の下限を下回っている場合は鉄欠乏性貧血などの小球性低色素貧血、MCVが増加している場合は悪性貧血などの大球性色素性貧血、MCVもMCHCも正常であるにもかかわらず貧血している場合は再生不良性貧血や溶結性貧血などの正球性正色素性貧血という診断が下ります。
ヘモグロビンA1cとは
ヘモグロビンA1cは糖尿病診断のための検査項目で、2010年から検査項目に加わった指標です。従来、糖尿病の検査に用いられてきた血糖値は何回も検査をする必要がありましたが、ヘモグロビンA1cは1回の検査で血糖値を正確に調べることができると言います。
赤血球の中のヘモグロビンは酸素に結びつくだけではなく、ブドウ糖にも結びつきます。血液中に過剰なブドウ糖があればヘモグロビンA1cの値は上昇します。
ヘモグロビンA1cの正常値は6.2%までとされています。6.5%を超えると糖尿病が疑われ、8%を超えると合併症が発症する確率が高くなると言われています。
血糖値は検査直前の食事やストレスなどの影響を受けやすいものですが、赤血球が破壊されるまで血液中にヘモグロビンA1cの状態で存在するという性質を利用して検査するために、過去1~2ヶ月の血糖値の状態を1回の検査で調べることができるのです。
まとめ
貧血だけではない気になるヘモグロビンの正常値
ヘモグロビンとは
ヘモグロビン量でわかること
ヘモグロビンの正常値
ヘモグロビンA1cとは