健康診断や人間ドックの血液検査の結果で ヘモグロビン の値が 低い と指摘を受けた経験のある女性は数多いことと思います。ヘモグロビンはどのような働きをするもので、その数値が低いとどのような問題があるのでしょうか。
ヘモグロビンの値が低いとどんなことが考えられますか
ヘモグロビンとは
ヘモグロビンは鉄を含む「ヘム」という赤い色素とたんぱく質「グロビン」が結合してできた言葉です。人間を含む全ての脊椎動物と一部のその他の動物の血液中の赤血球の中に存在しているたんぱく質で、赤血球の組成の大部分を占めているものです。
ヘモグロビンは酸素と結合しやすい性質をもっています。酸素分圧の高い肺の血液中で酸素と結びついて酸素を全身の組織に運び、代わりに二酸化炭素を受け取って肺まで運ぶという働きを繰り返しています。人間の生命の維持に係る非常に重要な働きを担っていると言えます。
鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作れなくなってしまうために酸素の量が減少してしまいます。女性に多い鉄欠乏性貧血はこの酸素の量が減少したことによって生じる酸欠状態だと言うことができます。
動悸は足りない酸素を補おうとして血液の循環が速くなったために起き、同様に息切れは呼吸運動が激しくなったために起こるのです。
ヘモグロビンの値が低いと
採血した血液を自動血球計数器にかけると赤血球や白血球、血小板の数と同時にヘモグロビンの数値も測定されます。
男性では13.0~16.6g/dl、女性では11.4~14.6g/dlが基準値であるとされています。一般的に妊婦や高齢者は低い傾向にあると言われています。
ヘモグロビン値が基準より低いと貧血の詳しい検査を受ける必要が出てきます。赤血球指数または赤血球恒数といってヘモグロビンの量、赤血球の数、ヘマトクリットの値を公式に当てはめて算出する数値によって、貧血の原因や種類などを特定することができるのです。
平均赤血球容積や平均赤血球色素濃度が基準値を下回っている場合は鉄欠乏性貧血など小球性低色素性貧血、平均赤血球容積が増加していれば悪性貧血など大球性色素貧血、平均赤血球容積や平均赤血球色素濃度がともに正常値であるにもかかわらず貧血状態を呈している場合は再生不良性貧血や溶血性貧血など正球性正色素性貧血であると診断されます。
ヘモグロビンの値を低くする原因となる病気
赤血球は骨髄の骨髄幹細胞をもとに作られます。骨髄の機能に問題があると赤血球は自体が作られなくなりますのでヘモグロビンも減少してしまいます。このメカニズムで起こる貧血を「再生不良性貧血」と言い、難病に指定されています。
体のどこかの部分で出血が起こっている場合に赤血球が失われると同時にヘモグロビンが減少します。出血による貧血を「失血性貧血」と言います。
何らかの原因で本来なら120日ほどあると言われている赤血球の寿命が短くなってしまうことがあります。作るより破壊するスピードが速いため、総量としての赤血球が不足してしまうわけです。このように赤血球の寿命が短くなってしまうことによってい起こる貧血を「溶血性貧血」と言います。
赤血球が生成されるには腎臓から分泌されるホルモンが必要ですので、腎臓機能が低下しても赤血球は減少します。腎機能の低下が原因の貧血を「腎性貧血」と言います。
ビタミンB12や葉酸は赤血球が生成される際に基になるDNAにかかわる大切な働きをすると言われています。それぞれが欠乏したことで起こる貧血を「ビタミンB12欠乏性貧血」、「葉酸欠乏性貧血」と言います。
最も多くみられるのは鉄分の摂取が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」です。日本人の食生活には鉄分が不足していることが多いと言われています。また、若い女性の過度のダイエットによっても鉄不足は生じます。
ただし、一口にヘモグロビンの値が低いと言ってもその理由や病態は実にさまざまであることは今回ご紹介した通りです。ヘモグロビンの値が低いという指摘を受けた方は詳しい検査をしてその原因をはっきりさせた上で対処されることをお勧めいたします。
まとめ
ヘモグロビンの値が低いとどんなことが考えらえれますか
ヘモグロビンとは
ヘモグロビンの値が低いと
ヘモグロビンの値を低くする原因となる病気