鼻づまりと頭痛を同時に訴える方は数多いと言います。鼻づまりによる頭痛はひどくなると吐き気をもよおすことがあるほどです。ご自分の頭痛が鼻づまりによるものかどうかを判断することはなかなか難しいようです。
鼻づまり と 頭痛 のメカニズムについてご紹介いたします。
その頭痛、鼻づまりだけが原因ですか
鼻づまりが頭痛を引き起こす理由は
花粉症などのアレルギー性鼻炎の場合、アレルゲンである花粉が鼻の粘膜に取りつくことに対するアレルギー反応として鼻の粘膜が腫れるという症状が発症します。
鼻の粘膜が腫れると鼻腔が狭くなってしまうので、十分に酸素を取り入れることができなくなってしまいます。酸素不足を補おうとして口呼吸をするようになりますが、口は呼吸をするための器官ではないので鼻程には酸素を取り入れることができません。
さらに鼻はウイルスや異物に対する防御反応としてくしゃみや鼻水を出すわけですが、防ぎきれないと判断すると鼻をつまらせることで外部からの侵入を完全に断とうとするのです。
これが鼻の内部の鼻腔で起こると空気の循環さえ妨げて鼻づまりを悪化させる悪循環に陥ってしまいます。
鼻づまりがあると頭がボーっとして集中力や思考力が低下するだけではなく、ひどくなると吐き気を伴うような頭痛に見舞われることさえあります。
鼻腔や副鼻腔は網目状の骨に隔てられてはいますが、脳の前頭葉と隣り合っています。鼻づまりが頭痛を引き起こすのにはそのような理由もあるのです。
鼻づまりを伴う頭痛の問題点
上記のようなメカニズムで鼻づまりは頭痛を伴うことが多いのは事実ですが、鼻づまりの方は慢性的な頭痛をもっている場合があるため、いつもの頭痛として危険な病気のサインを見逃してしまうことが起こりえます。
耳鼻咽喉科の領域でも鼻づまり以外の原因で頭痛を感じることもありますし、脳や骨の病気で感じる頭痛もあります。鼻づまりによる頭痛だと素人判断することなく、まずは鼻づまりで受診した耳鼻咽喉科で頭痛に関する相談をしてみることをお勧めいたします。
鼻や喉のつなぎ目を上咽頭と呼びますが、上咽頭に癌ができて進行すると脳を支えている頭蓋底という骨に入り込むために頭痛が起きる場合があります。
また、頬にある上顎洞(じょうがくどう)も癌ができやすい場所で、上顎癌も骨に侵食すると頭痛や頬痛が起きます。上咽頭も上顎洞も口を開けて見えるというわけではないので専門医による診断が必要になってくるのです。
鼻づまりと頭痛を同時に感じると風邪薬を飲もうと考えられる方も多いことと思います。原因が風邪であれば鼻づまりも頭痛も一過性のもので風邪が治れば症状はなくなるはずです。
原因が副鼻腔炎など鼻の病気や花粉症などのアレルギー性疾患であれば、それぞれの原因に応じた治療をしなければ根本的な治癒は望めません。
とりわけ頭痛を伴うことが多い副鼻腔炎
鼻づまりの中でも副鼻腔炎は非常に頭痛を伴うことが多いことが知られています。実際、頭痛を訴えて内科を受診して耳鼻咽喉科に紹介されたという方も多く見受けられます。
副鼻腔炎に伴う頭痛の特徴は副鼻腔のどこで炎症が起きているかによって不快な部分や痛む部分が変わってくることです。
目と目の間にある篩骨洞(しこつどう)に炎症が起きると目のあたりが痛み、その奥の蝶形骨導(ちょうけいこつどう)に炎症が起きると頭重感が強くなります。
前頭洞(ぜんとうどう)という鼻の上の額の部分に炎症が起きると額が痛み、目の下の上顎洞(じょうがくどう)に炎症が起きると頬や歯が痛みます。
特に急性の副鼻腔炎では痛みを強く感じるようです。また、朝起きた時に一番痛みが強く、頭を下げた時に痛むというのも副鼻腔炎による頭痛の特徴と言えます。
副鼻腔炎が慢性化してしまうと強い痛みではなく、頭重感・疲労感を感じるようになります。このような場合は副鼻腔の奥深くに炎症があってMRIやCTの検査をしないと診断がつかないこともあるようです。
副鼻腔炎がとりわけ頭痛や顔面痛の原因になることがあるということを心に留めておくことも必要です。
まとめ
その頭痛、鼻づまりだけがげんいんですか
鼻づまりが頭痛を引き起こす理由は
鼻づまりを伴う頭痛の問題点
とりわけ頭痛を伴うことの多い副鼻腔炎