耳の穴から鼓膜までの部分に炎症が起こる 外耳炎 (外耳道炎)には急性外耳道炎や慢性外耳道炎があります。代表的な急性外耳道炎の症状は激しい耳の痛みです。
特に耳を引っ張ったときに痛むことは急性外耳道炎に特徴的とされています。慢性外耳道炎では耳のかゆみがもっとも多い 症状 です。悪性外耳道炎も耳痛などを症状としますが、この病気は致命的となる場合もあるために注意が必要です。
外耳炎の症状は耳の痛みやかゆみが代表的です
外耳炎、外耳道炎
外耳(がいじ)は耳の穴(医学用語で外耳道孔(がいじどうこう)と言います)から鼓膜までの部分を呼ぶ言い方で、正確には外耳道(がいじどう)と言います。ちなみに鼓膜より内側部分(耳の奥)は内耳(ないじ)と呼ばれます。
外耳炎はこの外耳に何らかの原因で炎症を生じた病気で、外耳道炎も同じ意味です。外耳炎には複数の病気が含まれますが、主なものとして急性外耳道炎と慢性外耳道炎があります。
この項では症状を中心に急性外耳道炎と慢性外耳道炎、そして恐ろしい病気である悪性外耳道炎について説明します。
急性外耳道炎の症状
過度な耳掻きで外耳道の皮膚に本来備わっている防御バリアを破壊する、あるいは耳掻きなどで外耳道の皮膚表面にキズができることで、細菌感染を生じる病気です。
代表的な急性外耳道炎の症状は激しい耳の痛みです。耳の痛みは外耳炎以外の耳の病気(中耳炎(ちゅうじえん)など)や耳以外に原因がある病気(歯科疾患や咽頭炎など)などさまざまな原因で起こりますが、耳介(じかい)の牽引痛、つまり耳を引っ張ったときに痛むことは外耳道炎の特徴とされています。
耳に触れただけでも痛いので、話すことができない乳児や幼児の場合は、衣服を着せたり脱がせたりするときに服が耳に触れると不機嫌になることで、親が気づくことがよくあります。咀嚼(そしゃく)する、あるいは口をあけると痛みがひどくなります。耳閉感(じへいかん。耳に水が入ったときのような耳が“こもる”感覚です)を自覚する場合もあります。
炎症がひどくなると、外から見ても耳の周囲が腫れていることがわかるようになります。
慢性外耳道炎の症状
外耳道の慢性の炎症、すなわち急になるものではなく比較的長い間にわたって炎症がくすぶっている病気です。
急性外耳道炎と同じように細菌感染をともなう場合もありますが、感染を合併していない場合もあります。慢性外耳道炎はさまざまな原因で起こります。
もっとも多い原因は耳掻きによって習慣的に皮膚が刺激されることで、他にはイヤホンや補聴器、パーマ液(アレルギー性接触性皮膚炎を起こします)なども原因になります。
糖尿病、腎不全、アレルギー、HIV感染症やステロイド薬の使用などによる免疫力低下など全身のコンディションが関係していることもあります。
もっとも多い慢性外耳道炎の症状は耳のかゆみです。他には耳漏(じろう。耳の穴から耳垢が出る症状です。
正常な人でも耳垢は出ますから、いつもより量が多い、あるいは性状が異なる、などの点に注意するとよいでしょう)、 耳閉感 、耳の聞こえにくさ(軽度のことがほとんどで、耳漏などが原因です)を感じることもあります。
細菌感染を合併すると痛み、熱感、膿性耳漏(耳の穴から膿みが出る症状です)を認めることもあります。
悪性外耳道炎の症状
悪性外耳炎は細菌感染(ほとんどは緑膿菌(りょくのうきん)という菌が原因になります)による病気で、炎症が外耳道を超えて周囲に及び、蜂巣織炎(ほうかしきえん)、骨炎、骨髄炎など周囲組織に炎症を起こすとともに組織を破壊していく、危険で恐ろしい病気です。
さらに進行して感染が頭蓋内に及ぶと髄膜炎や脳膿瘍などを起こして死亡することもあります。糖尿病や腎不全がある人、あるいは免疫力が低下している人に起こる病気です。
特に、糖尿病の人は危険度が高く、悪性外耳炎を起こした人の90%は糖尿病患者さんです。
悪性外耳道炎の症状として頑固な耳痛、耳漏、耳閉感 、難聴があります。痛みは通常の外耳炎と比べると強く、頭痛を合併することもしばしばです。ただし“通常の”と言われても、自分ではわからない人がほとんどだと思います。
そのため特に糖尿病患者がある方で耳の痛みなど外耳炎を疑う症状が出現した場合には早めに耳鼻科を受診することをおすすめします。なかでも血糖コントロールが悪い人は要注意です。悪性外耳道炎では炎症が外耳道を超えると顎の痛みや顔面神経麻痺などが出現することもあります。
まとめ
外耳炎の症状は耳の痛みやかゆみが代表的です
急性外耳道炎の症状
慢性外耳道炎の症状
悪性外耳道炎の症状